【心と体のケア】▶「眠れないときや、食欲がなくて疲れているときの漢方薬は?」

心療内科
眠れないときや、食欲がなくて疲れているときの漢方薬は?

漢方薬は、原因や症状、体質によって使い分ける必要があります。

眠れないときの漢方薬を、3つのタイプに分けてご紹介します。

①疲れているのに眠れない

酸棗仁湯(さんそうにんとう)
加味帰脾湯(かみきひとう)

気や血が不足している状態で、疲れているのに眠れない、熟睡感が得られないといった症状があります。

このタイプには、気や血を補って心身のバランスを整える漢方薬がおすすめです。

 

酸楽仁湯」は、心身が疲れすぎて寝付きが悪い人の不眠症に適します。「加味帰脾湯」は、疲れて元気がなく、顔の色つやがなく、のぼせ、イライラなどの症状を伴う場合にいいですね。

 

②緊張や不安で寝つきが悪い

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

緊張や不安で寝つきが悪い方は、気のめぐりが滞っている状態で、イライラや不安感が強く、

寝る前にさまざまなことが気になってしまう症状があります。

このタイプには、気のめぐりを促して心を落ち着かせる漢方薬がおすすめです。

 

柴胡加竜骨牡蠣湯比較的体力のある方桂枝加竜骨牡蠣湯体力のない方に処方されます。

 

③のぼせやほてりで眠れない

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
釣藤散(ちょうとうさん)

のぼせやほてりで眠れない方は、気が逆流している状態で、

体に熱がこもってしまい、のぼせやほてり、動悸などがあって眠りにつきにくい症状があります。

このタイプには、気の逆流を止めて体の熱を冷ます漢方薬がおすすめです。


次に、食欲がなくて、疲れているときの漢方薬についてお話します。

 食欲がなくて、疲れているという症状は、胃腸のはたらきが衰えて消化吸収が悪くなっていることが原因かもしれません。

 

胃腸の機能を高めて気や血を補う漢方薬をご紹介します。

例えば、以下のような漢方薬があります。

 ④胃腸虚弱で疲労感や食欲不振

六君子湯(りっくんしとう)

胃腸虚弱で疲労感や食欲不振の症状に対して、

胃腸のはたらきを高めて消化機能のトラブルを改善し、余計な水分をとり除く漢方薬です。

胃腸虚弱で疲労感や食欲不振に悩んでいる方の、下痢や吐き気にも適しています。

 

⑤疲労感や重だるさが強い

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

体の疲れ、食欲不振、胃弱、夏やせ、痔、病中・病後・手術後などで体力が弱っているときに用います。

気や血を補って胃腸の機能を高める漢方薬です。

また、疲れによる肌荒れ、にきびなどの他、各種アレルギー症状を緩和する作用もあります。

 

「六君子湯」は食欲不振や吐気といった消化器系症状が顕著な場合「補中益気湯」は消化器の不調よりも疲労感や重だるさが強い場合に用いられることが多いです。

 

⑥食欲不振や疲労感、さらに貧血や冷え性

人参湯(にんじんとう)
人参養栄湯(にんじんようえいとう)

胃の血行を促進したり消化機能を改善する漢方薬です。

生命の力を補ったり身体が持っている本来の力を引き出す作用があります。

食欲不振や疲労感に加えて、貧血や冷え性などがある方に適しています 。


漢方薬を選ぶときは、眠れない、食欲がない、疲れている原因や体質に合ったものを選ぶことが大切です。

また、漢方薬は即効性がなく、長期的に服用することで効果が現れることが多いので、

飲みやすいか続けやすいかも考慮する必要があります。

漢方薬の上手な飲み方は、私の過去ブログを参考にしてください▼

生薬成分の独特な匂いや味が苦手だという方は、それを感じにくい錠剤タイプが良いかもしれません。

漢方薬の服用には、医師や薬剤師の指導が大切です。

眠れない、食欲がなく、疲れがひどくて生活や仕事に支障が出る場合や漢方薬の副作用が心配な場合は、病院や薬局で相談してください。

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