【薬局薬剤師に知ってほしい事】▶「β遮断薬をスッキリ覚えよう!」

心不全
 β遮断薬(ブロッカー)をスッキリ覚えよう!
以下の文章は、公益財団法人 日本心臓財団 循環器最新情報、京都大学医学部附属病院 循環器内科ホームページなどを参考にしています。

β遮断薬とは、交感神経のβ受容体を遮断する薬です。

血圧や心拍数を下げたり、狭心症や不整脈などの症状を改善したりする作用があります。

β受容体は、心臓や血管、気管支などに存在し、

アドレナリンノルアドレナリンという神経伝達物質によって刺激されます。

血圧が上昇する要因の一つに心拍出量の増加による血管内血液量の増加があります。

狭心症では血管が狭くなることで、心臓の筋肉に十分な酸素などが届かなくなっていて、

この状態で心拍数が多くなると急激な酸素などの不足がおこり胸痛などがおこります。

頻脈性の不整脈では心臓の拍動がはやすぎるため、血液を全身に送り出す効率が悪くなります

β遮断薬は、これらの刺激を阻害することで、心臓の負担を減らしたり、血管の抵抗を低下させたりします


慢性・急性心不全について

慢性心不全は、心臓が疲れていて休ませる必要があるため、心臓の負担を軽くする作用のあるβ遮断薬を使用します。
一方、急性心不全は、急激な血行動態の悪化を改善させる必要があります。心臓の負担を軽くするβ遮断薬を使用すると、さらに心筋収縮力を抑制させてしまいます急性心不全にはβ遮断薬が禁忌となっています。

β1受容体選択について

β遮断薬には、β1受容体に選択的に作用するβ1選択性薬剤
β1以外のβ2受容体などにも影響を及ぼしやすいβ1非選択性薬剤があります。

気管支喘息について

β1選択性薬剤は、気管支喘息などの患者には慎重に使用する必要があります。
β1非選択性薬剤は、気管支喘息の方には原則として使用できません

主な副作用

β遮断薬の主な副作用は、徐脈、めまい、ふらつき、倦怠感などです。

 

β遮断薬の代表的な先発商品名とその特徴は以下の通りです。

①インデラル®(プロプラノロール):

β1非選択性薬剤で、狭心症や片頭痛発作予防、甲状腺機能亢進症などにも使用される。

 

②ミケラン®(カルテオロール):

β1非選択性薬剤で、血管拡張作用も持つ。

 

③セレクトール®(セリプロロール):

β1選択性薬剤で、慢性心不全や心房細動の治療にも使用される。

 

④ケルロング®(ベタキソロール):

β1選択性薬剤で、徐放性製剤としてもある。

 

⑤セロケン®(メトプロロール):

β1選択性薬剤で、徐放性製剤もある。現在、適応はないが慢性心不全にも使用される。

脂溶性が高く、脳への移行も良いため片頭痛の予防に使うことがある。

 

⑥メインテート®(ビソプロロール):

β1選択性薬剤で、β遮断薬の中でもβ1受容体への選択性が高い

虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全に適応がある

 

⑦テノーミン®(アテノロール):

β1選択性薬剤で、高血圧、狭心症、頻脈性不整脈の治療に使用される。

 

⑧ビソノテープ®(ビソプロロール):

β1選択性薬剤の外用貼付剤で、嚥下能力の低下した患者などに有用。

テープ8mgの降圧効果は、飲み薬の錠剤5mg(メインテート錠5mg)と同程度。

慢性心不全の適応は、現在ありません。

高血圧症における通常量は8mg。腎臓の弱い人や高齢の人は半分の4mgで開始することがある。

頻脈性心房細動の場合は4mgから始める。血圧や心拍数、症状、腎機能の程度によっては2mgから開始することがある。効果不十分な場は8mgまで増量可能。

 

⑨ハイパジール®(ニプラジロール):

β1非選択性薬剤で、緑内障治療の点眼液としてもある。


慢性心不全治療に対するβ遮断薬の種類は、どの薬でもよいというわけではないようです。

降圧薬として広く使用されているアテノロールに代表される水溶性のβ遮断薬の効果は必ずしもよくありません。

一方、脂溶性のβ遮断薬は心不全治療に有効で、特にカルベジロール(α、β遮断薬)、ビソプロロールの有用性が広く確かめられています。

この二剤が慢性心不全治療におけるβ遮断薬の代表となるようです。

他に、ISA(内因性交感神経刺激作用)、MSA(膜安定化作用)有無などの区別がありますが、もう頭が混乱するので別の機会にします。

以上です。スッキリまとめることは、難しいですね。

 

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