アモキシシリンの出番はこれだ!
以下の文章は、岩田健太郎 先生 著書「抗菌薬の使い方、考え方」などを参考にしています。
ペニシリンは、細菌の細胞壁合成を阻害して抗菌作用を示す薬です。
ペニシリン系抗菌薬には、天然ペニシリン(バイシリンG®)、アミノペニシリン(アモキシシリン®)、抗緑膿菌ペニシリン(注射用のみ)などがあります。
グラム陽性球菌・陰性球菌などに対して効果がありますが、耐性菌も多く存在します。
▼微生物の分類に関しては私の過去ブログを参考にしてください▼
ペニシリン系抗菌薬を使用する主な病気としては、以下のようなものがあります。
肺炎
細菌やウイルスの感染によって、肺の炎症により息切れなどを起こす病気です。
ペニシリン系抗菌薬は、肺炎球菌や化膿レンサ球菌などに対して有効です。
耐性菌も多いため、感受性試験の結果に基づいて選択されます。
投与方法は、経口または静脈内で、投与期間は病状によりますが、通常は7~14日程度です。
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌による感染症で、ほとんどが性感染症です。
ペニシリン系抗菌薬は、梅毒の治療に最も効果的な薬とされており、天然ペニシリンのベンジルペニシリンが第一選択薬です。
投与方法は、筋肉内または静脈内で、投与期間は梅毒のステージによりますが、通常は2~4週間程度です。
猩紅熱(溶連菌感染症)
A群β溶連菌という細菌による感染症で、急性咽頭炎や全身の皮疹を起こす病気です。
ペニシリン系抗菌薬(サワシリン®、パセトシン®、アモキシシリン®)は、A群溶連菌に対して有効であり、予防的にも使用されます。
投与方法は、経口または筋肉内で、投与期間は7〜10日程度です。
ペニシリン系抗菌薬は、今も様々な感染症の治療に使用されますが、
細菌の種類や耐性、患者の状態などによって、最適な薬剤や投与方法、投与期間は異なります。
そのため、医師の指示に従って服用することが重要です。
また、ペニシリン系抗菌薬には、アレルギー反応や消化器症状、偽膜性大腸炎などの副作用が起こる可能性があります。
偽膜性大腸炎は、 Clostridium difficile(CD∶グラム陽性桿菌)という菌が異常に増殖して起きる感染性大腸炎の1種です。抗生物質の服用によって正常な腸内細菌のバランスがくずれ、ある種の菌が異常に増え(菌交代現象)、大腸に炎症を起こします。
服用中に異常を感じたら、医師や薬剤師に相談してください。
次回、アモキシシリンにクラブラン酸(β-ラクタマーゼ阻害剤)が配合されたオーグメンチン®についてお話する予定通です。
以上、ご参考になれば幸いです。