レケンビ注射用®は、アルツハイマー病の進行を遅らせる画期的な効果を持つ抗体医薬品です。
ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体です。
アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)または軽度の認知症の進行を抑制します。
重大な副作用があることや、適切な類似薬がないことから、原価計算方式で薬価が設定されました。
原価計算方式とは、昭和57年中医協答申に基本的な考え方が定められており、具体的には、薬価算定単位あたりの製造(輸入)原価に、 販売費及び一般管理費、営業利益、流通経費並びに消費税を加えた額を薬価とする方式です。
レケンビ注射用®は、体重1kgあたり10mgを2週間に1回投与する薬剤です。
レケンビ注射用®は、12月20日に薬価基準に収載され保険適用されました。
投与できる医療機関や患者は限定されており、「最適使用推進ガイドライン」や留意事項通知を遵守する必要があります。
アミロイドPET、脳脊髄液検査、または同等の診断法によりアミロイドβ病理を示唆する所見が確認され、
アルツハイマー病と診断された患者さんのみに限定されています。
初診時に対象外と判定されることがありますが、
その場合は通常の診療を提供させていただくか、紹介先の診療機関で診療を継続することになります。
当初は年間3万2000人程度の患者さんへ投与される見込みのようです。
この場合、1年間の市場規模は、約986億円と推計されます。
レケンビ注射用®の副作用として、次のようなものがあります。
点滴中に起こる体の反応(インフュージョンリアクション)
発熱、悪寒、発疹、じんましん、かゆみ、頭痛、吐き気、嘔吐、血圧の変化などがあらわれることがあります。
脳のむくみや出血(アミロイド関連画像異常(ARIA))
脳からアミロイドベータが除去されるときに、一時的に血液や水分が血管の外に漏れ出すことで起こることがあります。
多くの場合、症状はありませんが、けいれんやてんかん、頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、歩行障害などがあらわれることがあります。
これらの副作用は、定期的に行われるMRI検査や血圧測定などで早期に発見することができます。
副作用があらわれた場合は、速やかに主治医に連絡します。
副作用の程度や症状によっては、薬の投与を一時的に中止したり、治療を中止したりすることがあります。
認知症初期集中支援チームの活動には行政、認知症専門医、かかりつけ医、放射線科医、薬剤師、看護師、臨床心理士、放射線科スタッフ、医療事務関係者、介護者の密接なる連携が不可欠とされています。
認知症ケアパスメニューに、在宅分野で薬局薬剤師があらかじめ組み込まれるかもしれませんね。