【薬局薬剤師に知ってほしい事】▶「ステロイドの外用薬と免疫抑制薬、注射薬などについて詳しく教えて」

薬剤師の皆様へ
ステロイドの外用薬と免疫抑制薬、注射薬などについて詳しく教えて
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021、田辺三菱製薬「ヒフノコトサイト」などを参考にしています。

ステロイド外用剤は、身体に起きる炎症を抑える働きのあるステロイド(副腎皮質ホルモン)を化学的に合成し、薬効成分として配合した外用剤です。

ステロイド剤は、炎症性皮膚疾患の治療に欠かせない薬の一つです。

 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインでは、医療用ステロイド外用剤の作用の強さを、以下の5つのランクに分類しています(表①)

1. ストロンゲスト(最も強い)

手足や身体の症状のひどい場所に使います。

2. ベリーストロング(非常に強い)

手足や身体に使います。

3. ストロング(強い)

首やお腹など、皮膚の柔らかい部位にも使えます。

4. マイルド(普通)

ステロイドとしては弱い部類のもので、顔や赤ちゃんにも使えます。

5. ウィーク(最も弱い)

最も弱いステロイドです。

市販の医薬品(OTC医薬品)としては、下位の3つのランク「ストロング」、「マイルド」、「ウィーク」の製品が販売されています。

ただし、ステロイド外用剤は皮膚が薄い部位ほど吸収率が高く、作用が強く出るため、

医師は患者さんの年齢や治療部位も考慮しながら、最適なランクのステロイドを選択します。

ステロイドの部位別吸収率について

↑上のグラフは、前腕の内側のステロイド成分(ヒドロコルチゾン)の吸収率を1としたときの、健康な皮膚の部位別吸収率の差を示したものです。

これをみると、陰部や首から上など、皮膚が薄くデリケートな部位は特にステロイド外用剤の吸収率が高いことが分かります。

このような部位にステロイド外用剤を使用するときは、使用期間を必ず守って長期連用しないようにしましょう。

この情報をもとに、炎症の部位や程度に応じて適切なステロイド外用剤を選択し、正しく使用することが重要です。


アトピー性皮膚炎で使用する免疫抑制薬について

免疫抑制薬は、体内で過剰な免疫反応や炎症を抑えるために使用される薬です。

特にアトピー性皮膚炎の治療に使われることがあります。

アトピー性皮膚炎用塗布剤として使用する免疫抑制薬を説明します。

 1. プロトピック軟膏® (タクロリムス)

タクロリムスは免疫抑制剤であり、アレルギー反応を抑えて皮膚の痒みや赤みを改善します。

アトピー性皮膚炎では、免疫反応によってアレルギー反応を引き起こす物質が放出され、痒みや湿疹が現れます。

タクロリムスはサイトカインやヒスタミンなどの放出を抑え、アレルギー反応を抑制する効果が期待されます。

主な副作用として使用部位の皮膚症状には熱感、疼痛、痒みがあらわれることがあります。
また、免疫抑制作用により毛のう炎皮膚真菌症が発生する場合もあります。

プロトピック軟膏は「軟膏0.1%」と「軟膏0.03%小児用」の規格があります。

小児用という名称がついていますが、成人にも使用される場合があります。

 免疫抑制薬は、適切な使用方法と主治医の指示に従って使用することが重要です。

 

免疫抑制薬の塗り方のポイント

1. 優しく塗る

薬を擦り込まず、優しく伸ばして塗るようにしましょう。

2. 適量を塗る

1回の塗布量は、通常は1日1~2回適量を患部に塗ります。成人の場合、1回当たりの塗布量は5g(タクロリムスとして5mg)までです。

3. 長期間使用しない

5~6日間使用してもよくならない場合は、使用を中止してください。


アトピー性皮膚炎に使用する新しい薬について

1. デュピクセント®(デュピルマブ)

デュピクセントはアトピー性皮膚炎の治療薬で、皮下注射で使用されます。

これまでの治療で十分な効果がなかった、中等症以上のアトピー性皮膚炎の患者さんに対して、高い改善効果と安全性を示しています。

かゆみや炎症が生じる前に抑える効果があります。

 

2. コレクチム軟膏®(デルゴシチニブ)

デルゴシチニブはJAK阻害薬で、かゆみや炎症を抑える効果があります。

デルゴシチニブはJAKファミリーのキナーゼをすべて阻害することにより、抗炎症効果、バリア機能の維持、鎮痒効果を示します。

『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021』では、

ステロイド外用薬の局所の副作用の観点から寛解導入後は間欠的な使用、

もしくはデルゴシチニブ軟膏やタクロリムス軟膏への移行が推奨されています。

 既存のアトピー性皮膚炎治療薬であるステロイドやタクロリムス(プロトピック)と比較し分子量が小さく、容易に皮膚で経皮吸収されます。

ステロイドの長期使用による副作用を軽減する目的で作られた薬剤で皮膚萎縮や血管拡張などが起こらないため、

顔面や頸部などのステロイド外用薬を長期塗布したくない部位での場合にも適していると思われます。

ステロイドと比較すると効果は弱いようです。しかし、プロトピックの様な刺激感もなく使いやすい薬です。

 副作用は、まれに皮膚感染症を起こすことがあります。これは他の抗炎症外用薬と同様です。

やむを得ず使用する場合には、適切な抗菌・ウイルス・真菌薬による治療・併用が必要です。

 

モイゼルト軟膏®(ジミファミラスト)

モイゼルト軟膏(一般名:ジミファミラスト)は、アトピー性皮膚炎を適応とした国内初のPDE4(ホスホジエステラ―ゼIV)阻害剤です。

2022年6月1日より販売が開始されました。

1%製剤(成人用。小児も使用可能)と3%製剤(小児用)があります。

PDE4(ホスホジエステラ―ゼIV)は多くの免疫細胞に存在する酵素で、cAMPという物質を分解する働きがあります。

cAMPの分解が亢進し細胞内のcAMP濃度が低下すると、免疫細胞からの炎症性物質の産生が亢進してしまいます。

PDE4は炎症物質を分解しにくくする働きがあります。

モイゼルト(ジミファミラスト)は、このPDE4の働きを阻害することによって炎症細胞内のcAMP濃度を高め、

過剰な炎症物質の産生を制御することにより皮膚の炎症を抑制します。


今日はアトピー性皮膚炎へのステロイド軟膏の基礎知識から、最新治療まで幅広く説明し、少し長くなってしまいました。

最新治療薬は、従来の治療法と比較して、新しい選択肢となります。

ただし、長期的に使ってみてどうなのか不明な部分があり、具体的な治療法は医師としっかり相談して決定するべきです。

私は、ステロイド軟膏とかれこれ40年以上付き合っています。

時折悪化するものの、大きな副作用はないと感じています。

①ステロイド軟膏を顔には塗らない、②予防的に塗布しない、③安定している時期はワセリンを使用する。

この3点は、私が注意しているポイントです。

以上、ご参考になれば幸いです。

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