【薬局薬剤師に知ってほしい事】▶「今話題のSGLT2阻害薬について、詳しく学ぼう!」

薬剤師の皆様へ
今話題のSGLT2阻害薬について、詳しく学ぼう!
以下の文章は、乾小児科内科医院 糖尿病専門医 乾 恵輔 先生の記事、各薬剤の添付文書を参考にしています。

SGLT2阻害薬は、糖尿病や心不全の治療に用いられる薬の一種で、

腎臓での糖の再吸収を阻害して、尿中に糖を排泄させることで血糖値を下げます

血糖コントロールが良くても、必ず尿糖(+)になります。

尿中の糖分をカロリーに換算すると、1日 240kcal〜400kcal(グルコース 1g = 4kcal)になり、角砂糖およそ20〜30個分を排泄していることになります。

SGLT2阻害薬は、血糖値を下げるだけでなく、体重や血圧の減少、心不全や腎機能の改善などの多面的な効果があります。

SGLT阻害薬には、SGLT1阻害薬SGLT2阻害薬の2種類がありますが、日本ではSGLT2阻害薬のみが承認されています。

SGLT2は主に腎臓にあり、尿中の糖を再吸収し、体内に糖を取り込みます。 SGLT1は主に小腸に存在し、食事からの糖を吸収します。

近位尿細管で再吸収されるグルコースのうち約90%はSGLT2、残りの約10%はSGLT1の働きによるものとされています。(実は、SGLTは6つあるようです)

 

SGLT2阻害薬には、以下の6薬品があります。

①イプラグリフロジン(スーグラ®)

最初に発売されたSGLT2阻害薬で、1日1回50mgまたは100mgを服用します。

DPP-4阻害薬との配合剤(スージャヌ®)もあります。

 

②ダパグリフロジン(フォシーガ®)

1日1回5mgまたは10mgを服用します。心不全や慢性腎臓病の治療にも有効です。

慢性心不全、慢性腎臓病の場合、維持量は1日1回10mgです。

 

③ルセオグリフロジン(ルセフィ®)

1日1回2.5mgまたは5mgを服用します。ODフィルムという剤形があり、嚥下しやすいようです。

 

④トホグリフロジン(デベルザ®)

1日1回20mgを服用します。SGLT2選択性が高く、SGLT1への影響が少ないです。

 

⑤カナグリフロジン(カナグル®)

1日1回100mgを服用します。DPP-4阻害薬との配合剤(カナリア®)もあります。

半減期が長く、夜間頻尿が気になる場合に適しています。心不全や慢性腎臓病の治療にも有効です。

 

⑥エンパグリフロジン(ジャディアンス®)

1日1回10mgまたは25mgを服用します。DPP-4阻害薬との配合剤(トラディアンスAP・BP)もあります。

心不全や慢性腎臓病の治療にも有効でエビデンス(科学的根拠)が多いです 。

SGLT2阻害薬が、心筋梗塞や心血管の病気による死亡率を下げるという結果が世界中から注目されるきっかけとなったEMPA-REG OUTCOME試験という研究で用いられたのが、この「エンパグリフロジン」です。

 


SGLT2阻害薬の強さは、薬品や患者さんの状態によって異なりますが、

一般的には、HbA1cの低下効果は約0.5~1.0%、体重減少効果は約2~4kg、血圧降下効果は約3~5mmHgとされています。

SGLT2阻害薬の効果は、腎機能に依存するため、腎機能が低下すると効果が減少します。

副作用は、脱水、尿路感染、低血糖症、ケトアシドーシスなどに注意します。

注意点として、シックデイのときは必ず服薬中止します。

水分補給はとても大事です。

特に服薬初期は、1 日2Lくらいしっかり補水しましょう。

 


ネットでは、「ダイエット薬」 として飲まれている方もいるようです。

糖尿病や心不全に使う薬を「ダイエット薬」として飲むのは怖いことです。

糖を排泄するために、水が体から必要以上に減るため、脱水になりやすいです。

体重が減ったとしても、脂肪と同程度に筋肉が減るようです。

筋トレを併用しないとリバウンドの危険性大ですね。

もっと規制が厳しくなることを願っています。

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