【薬局薬剤師に知ってほしい事】▶「溶連菌感染症について詳しく教えて」

抗菌薬・感染症
溶連菌感染症について詳しく教えて
以下の文章は、名古屋大学医学部附属病院 竹内 想 先生監修の記事などを参考にしています。

溶連菌感染症とは、グラム陽性レンサ球菌属Streptococcusの細菌である溶血性連鎖球菌(溶連菌)を原因とする感染症です。

溶連菌は、化膿性連鎖球菌(かのうせいれんさきゅうきん)といわれることもあります。

溶連菌について

一般的に鼻や喉の粘膜、扁桃腺に感染し、咽頭炎、肺炎が有名です。

溶連菌咽頭炎は、A群β溶血性連鎖球菌溶連菌の感染によって起きる咽頭炎です。

溶連菌に感染すると、感染後2~5日程度の潜伏期間の後、発熱や咽頭痛が発症します。

主な初期症状は、発熱(38~39℃)の他、扁桃腺の腫れ、手足の赤い発疹、舌の表面の赤いぶつぶつ(=苺舌などです。
風邪のように咳や鼻水が出ないのが、この病気の特徴です。

扁桃腺が弱い方が感染しやすい病気です。通常、6~15歳の児童に多く見られますが、最近では成人でも感染が見られます。

家族内での感染率は20〜60%と高いので、子どもが溶連菌感染症と診断された場合には、

マスクを着用して飛沫を防ぎ、手洗い、うがいを徹底することが大切です。

大人が感染すると咽頭痛に加え初期症状として「 頭痛 」が見られます。

喉の痛みや関節痛、倦怠感などを感じ、インフルエンザ検査を受けても陰性と出るため、ただの風邪と判断してしまう場合があります。

溶連菌の感染は、咽頭、中耳、副鼻腔、肺、皮膚、皮下組織、心臓弁、血流など様々な部位に生じます。

皮膚では感染した部位が赤くなり皮下の組織が腫れ、痛みを伴う「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」や

かさぶたと黄色い痂皮を伴うただれができる「膿痂疹(のうかしん)」(=とびひ)が見られます。

筋肉を覆う結合組織(筋膜)が感染すると「壊死性筋膜炎」が見られ、急な悪寒や発熱、重度の痛みと圧痛が感染部位に見られます。

 喉の痛みを訴える患者さんで、咳や目の充血、声がれ、下痢、鼻づまりが見られる場合には、連鎖球菌ではなくウイルスの感染が原因と考えられます。

溶連菌感染症の合併症は

溶連菌感染症を治療せずにいると合併症が発生する場合があります。

感染が周辺組織に広がり中耳炎、気管支炎、リンパ節炎などを発症します。

耳の感染が副鼻腔に広がり副鼻腔炎を発症したり、耳の後ろで隆起している骨である乳様突起に広がり、乳様突起炎を発症したりします。

回復期に手や足の指先から皮がめくれてきたりすることもあります「しょう紅熱(こうねつ)」

溶連菌感染症を放置すると、急性腎炎、リウマチ熱、アレルギー性紫斑病などの合併症が起こる可能性がありますので、注意が必要です。


溶連菌の検査

 溶連菌感染症の診断は、のどをぬぐった綿棒で迅速検査(15分程度)や培養検査を行います。

 溶連菌の治療

溶連菌感染症の治療は、ペニシリン系の抗菌薬(サワシリン®やパセトシン®、ワイドシリン®アモキシシリン®など)の経口投与を行います。
 ペニシリン系抗菌薬にアレルギーがある患者さんでは、マクロライド系の内服を行います。また、セフェム系の抗菌薬を使用することもあります。

きちんと薬を服用しているにも関わらず、2~3日経っても熱が下がらない場合は、薬の効きにくい溶連菌に感染しているか、

他の疾病を合併している可能性がありますので、早めに再受診することが大切です。


特に11月〜4月の流行期はインフルエンザとの判別がつきにくいので、迅速検査が必要です。

アモキシシリン®が処方されていたら私は溶連菌感染症を連想しますが、

薬剤師としては「抗菌薬アレルギー歴」や「咳や鼻水があまりないこと」を確認しましょう。

服薬後、発疹などのアナフィラキシー症状がなければ、

抗菌薬は症状が治まっても最後まで飲み切ることは必須説明ですね。

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