薬剤耐性(AMR)について詳しく知りたい!
厚生労働省のAMR対策アクションプランなどを参考にしています。
薬剤耐性(AMR)は、病原体に対して効果があったはずの治療薬が効きにくくなること、あるいは効かなくなることを指します。
以下にAMRについて説明します。
1. AMRとは
AMRは、Antimicrobial Resistanceの略で、日本語では「薬剤耐性」「抗菌薬耐性」とも呼ばれます。
細菌やウイルス、寄生虫などの病原体に感染することによって生じる病気を「感染症」といいます。
特に細菌に対して効果を示す治療薬は「抗菌薬(抗生物質・抗生剤)」と呼ばれます。
AMRは、抗菌薬を使っていると、抗菌薬の効きにくい菌が出てくることを指します。
2. AMRの危険性
抗菌薬の不適切な使用や過剰摂取により、薬剤耐性菌が増加しています。
薬剤耐性が広がると、感染症の治療が難しくなり、特に小児や高齢者では重篤な合併症や死亡リスクが高まります。
3. 対策
適切な薬剤を必要な場合に限り、適切な量と期間使用することが重要です。
医療従事者や患者、一般市民が薬剤耐性について正しい知識を持ち、適切な使用を心掛けることが必要です。
抗菌薬耐性(AMR)を防ぐために、以下のポイントに注意しましょう。
1. 感染症を予防する
風邪などウイルスによる感染症には抗菌薬は効きません。適切な感染予防対策を行いましょう。
正しい手洗い、アルコール消毒、マスクの着用、うがいなどが重要です。
2. 抗菌薬の適切な使用
医師の指示に従って抗菌薬を飲み切ります。途中で止めないようにしましょう。
以前に処方された抗菌薬が残っていても、自己判断で飲まないようにしてください。
3. 医師とのコミュニケーション
症状を詳しく説明し、適切な診断を受けるようにしましょう。
医師から指示された通りに抗菌薬を使用しましょう。
4. 薬剤師とのコミュニケーション
患者さまの状態にあった適切なアドバイスをしてくれる「かかりつけ薬剤師」を持ちましょう。
チーム医療に関わっている薬剤師ならば、医師や看護師、ケアマネージャー、介護士などとの連携がスムーズにできることが多いです。
5. 薬剤耐性の拡大防止に取り組む政府の取り組み
日本では「あなたのリスク ほどよいクスリ」をキャッチフレーズに、薬剤耐性の拡大防止に取り組んでいます。
薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐために、私たち一人ひとりが正しい知識を持ち、適切な使い方を心掛けましょう。
最後に
以前、某格闘者が「抗生物質を使いすぎて、今使える薬は1つしかない」と言っていたことを思い出します。
これは数種類の耐性菌を持っていることになります。
もしその耐性菌が接触感染などで他者へ感染すると、生存能力が強いと予想されるため拡大を止めることが困難です。
以前ならば、感染、発症しても適切に治療すれば軽症で回復できた感染症なのに、治療が難しくなります。
免疫力の低下した方ならば重症化しやすくなり、さらには死亡に至る可能性が高まります。
貴重な使える抗菌薬は殺菌性が強く、様々な常在菌が死滅してしまうでしょう。
さらに、貴重な抗菌薬が品薄で調剤薬局に納品されないという厳しい時代です。
皆様に、今一度考えてほしい大切な問題です。
以上、ご参考になれば幸いです。