アクテムラ注(トシリズマブ)は、関節リウマチや特定の自己免疫疾患の治療に用いられる生物学的製剤です。
近年、アクテムラはその効果とともに使用される患者さまの幅や副作用についても注目されています。
この記事では、アクテムラの特徴、適応される患者層、副作用について詳しく解説します。
アクテムラの特徴
アクテムラは、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体です。
この薬剤は、インターロイキン6(IL-6)の働きを抑えることにより、炎症を軽減します。
IL-6は炎症反応を強化するサイトカインであり、関節リウマチや多関節に活動性を持つ若年性特発性関節炎の病態に関与しています。
投与方法
アクテムラは、点滴静注製剤と皮下注射製剤の2つの形態で提供されます。
点滴静注
通常、成人には8mg/kgを4週間に1回投与します。
皮下注射
皮下注射製剤「アクテムラ皮下注162mgシリンジ」あるいは「アクテムラ皮下注162mgオートインジェクター(自動注射器)」を2週間に1回投与し、効果が不十分な場合は1週間に1回まで投与間隔を短縮可能です。
効果
アクテムラの主な効果は、関節炎の抑制、痛みの軽減、関節の機能改善です。
また、他の生物学的製剤と比較しても高い安全性が評価されており、不安定な体調の患者さまに対しても選択されやすい薬剤とされています。
アクテムラが使用される患者
アクテムラが使用される主な患者層には以下のようなものがあります。
関節リウマチ患者
通常、抗リウマチ薬や他の生物学的製剤で効果が得られない場合に使用されます。
若年性特発性関節炎患者
特に多関節に活動性のあるタイプの患者さまに対して重要な治療オプションとなります。
COVID-19患者
アクテムラは重症COVID-19の患者さまに対しても使用され、炎症性サイトカインの過剰生産を抑制する役割が期待されています。
アクテムラは、通常の治療に反応しない患者さま、あるいは重症である場合の最終手段として投与されることが多いですが、適応に関しては医師の判断に依存します。
副作用
アクテムラ治療にはいくつかの副作用があるため、使用に際しては注意が必要です。主な副作用は以下の通りです。
一般的な副作用
感染症
アクテムラは免疫系に影響を与えるため、特に呼吸器感染や皮膚感染にかかりやすくなります。患者さまは特に感染症の兆候に注意が必要です。
肝機能障害
一部の患者さまで肝機能が低下することがあります。定期的な血液検査が推奨され、異常が見られた場合はすぐに医師に相談する必要があります。
血液の異常
白血球や血小板の減少が報告されており、これも定期的な検査を行うべき理由の一つです。
注意が必要な副作用
アクテムラ使用中は、次のような重大な副作用の可能性があるため注意が必要です。
腸閉塞のリスク
重篤な腸の合併症が発生することもあるため、腹痛や腸関連の症状が現れた際はすぐに受診する必要があります。
アナフィラキシー反応
極めて稀ですが、アナフィラキシーショックの可能性があるため、初回投与後は十分な監視が求められます。
まとめ
アクテムラは、関節リウマチや若年性特発性関節炎の治療において有効な治療選択肢です。
その特徴的な効果で、特に他の治療法が効果が見込めない患者さまに対し、大きな助けとなる可能性があります。
しかし、その使用にあたっては副作用のリスクも伴い、慎重に行う必要があります。
医療従事者と密接に連携をとりつつ、患者自身も十分な情報収集と理解を持つことが大切です。
アクテムラは、今後も多くの患者さまに良い影響を与える薬剤であり続けるでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
参考資料
[アクテムラの特徴|東京のリウマチ専門医](https://yukawa-clinic.jp/knowledge/biologicalpreparation/actemra.html)
[アクテムラ点滴静注用 – 宇多野病院](https://utano.hosp.go.jp/section/13_02.html)
[3つの剤形|PLUS CHUGAI 中外製薬医療関係者向けサイト(医師 …](https://chugai-pharm.jp/contents/zb/014/01/01/)
[アクテムラの特徴 – 中外製薬](https://chugai-pharm.jp/contents/zb/014/01/)
[アクテムラ点滴静注用400mg | くすりのしおり : 患者向け情報](https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=30384)
[アクテムラ皮下注162mgシリンジの基本情報 – 日経メディカル](https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/63/6399421G1022.html)
[アクテムラ – 東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター](https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/medication/biologics/actemra.html)
[【アクテムラとわが研究人生 vol.33 ユニークな特徴】 | COLUMNS](https://ohsugibio.com/news/columns/500/)
[アクテムラの治療を受ける患者さんへ | 中外製薬 | 関節リウマチ(RA …](https://pat.actemra.jp/)
[アクテムラ(トシリズマブ)の作用機序【関節リウマチ】 – パスメド](https://passmed.co.jp/di/archives/162)