▶キノロン系抗菌薬、ラスビック錠とグレースビット錠の特徴と使い分けについて知りたい!

抗菌薬・感染症
キノロン系抗菌薬、ラスビック錠グレースビット錠の特徴と使い分けについて知りたい!

抗菌薬の選択は、感染症治療において非常に重要です。

特に、キノロン系抗菌薬は幅広い感染症に対応できるため、多くの臨床現場で使用されています。

その中でも ラスビック錠75mg(ラスクフロキサシン)グレースビット錠50mg(シタフロキサシン)は、

比較的新しいニューキノロン系抗菌薬として注目されています。

今回は、それぞれの特徴や使い分けについて、最新の情報をもとに詳しく解説します。

 

1. ラスビック錠の特徴

ラスビック錠は、ラスクフロキサシン(Lascufloxacin)を有効成分とするニューキノロン系抗菌薬です。

2019年に製造承認され、2020年に発売されました。

主な特徴

1. 適応症が限定的

ラスビック錠は、耳鼻咽喉科領域呼吸器感染症に特化した抗菌薬です。

具体的には、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎などに適応があります。

2. 低用量で組織移行性が良い

ラスビック錠は低用量でも、組織移行性に優れています。

特に肺胞上皮被覆液や肺胞マクロファージへの移行性が高く、呼吸器感染症に適しています。

3. 耐性化が起こりにくい

ラスビック錠は デュアルインヒビターとして、DNAジャイレーストポイソメラーゼⅣを同程度阻害するため、耐性菌の発生を抑制しやすいとされています。

4. 胆汁排泄型で腎機能への影響が少ない

腎機能による投与量調節が不要であり、腎機能障害のある患者にも比較的安全に使用できます。

 

2. グレースビット錠の特徴

グレースビット錠50mgは、シタフロキサシン(Sitafloxacin)を有効成分とするニューキノロン系抗菌薬で、2008年に国内で発売されました。

主な特徴

1. 幅広い適応症

グレースビット錠は、呼吸器感染症尿路感染症、歯周組織炎、腎盂腎炎、子宮頚管炎など、幅広い感染症に適応があります。

ラスビック錠よりも適応範囲が広く、特に尿路感染症にも使用できる点が特徴です。

2. 強力な抗菌スペクトル

シタフロキサシンは、グラム陽性菌・グラム陰性菌の両方に対して強い抗菌作用を持ち、特に耐性菌に対する効果が期待されています。

3. 腎排泄型で腎機能に注意が必要

グレースビット錠は腎排泄型であるため、腎機能が低下している患者では投与量の調整が必要です。

 

3. ラスビック錠とグレースビット錠の使い分け

① 呼吸器感染症の場合

ラスビック錠は肺組織への移行性が高く、呼吸器感染症に適しています。特に慢性呼吸器病変の二次感染や副鼻腔炎などに有効です。

グレースビット錠も呼吸器感染症に使用できますが、より広範な適応を持つため、他の感染症も併発している場合に選択されることが多いです

② 尿路感染症の場合

ラスビック錠は尿路感染症には適応がありません。

グレースビット錠は尿路感染症に適応があり、腎排泄型であるため、尿中濃度が高くなりやすく効果的です。

③ 腎機能が低下している患者の場合

ラスビック錠は胆汁排泄型であり、腎機能による投与量調整が不要です。

グレースビット錠は腎排泄型であるため、腎機能が低下している患者では投与量の調整が必要です。

 

まとめ

ラスビック錠とグレースビット錠は、どちらもニューキノロン系抗菌薬ですが、適応症や排泄経路が異なるため、使い分けが重要です。

ラスビック錠は呼吸器感染症に特化し、腎機能への影響が少ない。

グレースビット錠は幅広い感染症に対応し、特に尿路感染症に有効。

患者さまの状態や感染症の種類に応じて、適切な抗菌薬を選択することが重要です。最新の情報をもとに、適切な治療を行いましょう。

以上、ご参考になれば幸いです。

 

参考文献

[ラスビック錠の特徴と位置付け](https://kusuripro.com/lasvic-lascufloxacin/)

[ラスビック錠の作用機序と副作用](https://yakuzaishi.love/entry/Lasvic-20191211)

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