睡眠時間が短いと糖尿病リスクが増加
複数の大規模調査で、睡眠時間が短いほど2型糖尿病の発症リスクが高まるという結果が出ています。
例えば、アメリカの看護師を対象とした研究では、1日の睡眠時間が5時間以下の人は7~8時間の人に比べて、2型糖尿病を発症するリスクが約40%高いという結果が出ています。
睡眠の質も重要
睡眠時間だけでなく、睡眠の質も糖尿病リスクに関わっています。
深い睡眠が不足すると、インスリン抵抗性が高まり、血糖値が上昇しやすくなることが分かっています。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質を著しく低下させる代表的な疾患です。
睡眠不足が糖尿病を引き起こすメカニズム
睡眠不足が糖尿病を引き起こすメカニズムは、まだ完全には解明されていませんが、以下の様な要因が考えられています。
インスリン抵抗性
睡眠不足は、インスリンの働きを低下させ、血糖値を下げるために必要なインスリンの量が増えてしまいます。
食欲亢進
睡眠不足は、食欲を増進させるホルモンであるグレリンの分泌を増加させ、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌を減少させます。
その結果、過食や肥満につながりやすくなります。
ストレス
睡眠不足は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させます。
コルチゾールは、血糖値を上昇させる作用があります。
適切な睡眠時間とは
一般的に、成人に推奨される睡眠時間は7~8時間です。
しかし、必要な睡眠時間は人によって異なります。
日中の眠気や疲労感がない、目覚めが良いといった状態が、自分にとって適切な睡眠時間を満たしている目安となります。
質の高い睡眠を得るために
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
生活リズムを整えることが重要です。
寝る前にカフェインやアルコールを摂取しない
睡眠を妨げる可能性があります。
寝る前に激しい運動をしない
交感神経が興奮し、寝つきが悪くなることがあります。
寝室の環境を整える
静かで暗く、涼しい部屋で寝るのが理想的です。
ブルーライトを避ける
就寝1時間前からはスマートフォンやパソコンの使用を控えましょう。
糖尿病患者さんの睡眠
糖尿病患者さんは、睡眠不足によって血糖コントロールが悪化する可能性があります。
十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を心がけることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群を合併している場合は、適切な治療を受けることが重要です。
最後に
睡眠は、健康な生活を送る上で非常に重要な要素の一つです。
睡眠不足は、糖尿病だけでなく、様々な疾患のリスクを高めることが知られています。
適切な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を心がけるようにしましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
参考資料
良い睡眠の概要(案)厚生労働省2023