慢性副鼻腔炎:蓄膿症(ちくのうしょう)とは、顔面の左右対称性にある上顎洞、篩骨洞、前頭洞にウイルスや菌の感染が起こり、そこに粘液や膿が溜まる病気。鼻の中にも粘液や膿が鼻汁として排出されます。うまく排出されないと頬や目の間に痛みを感じます。鼻汁の貯留、鼻の粘膜も腫れるので、鼻づまりも起こします。
好酸球性副鼻腔炎(指定難病306)
好酸球:ヒトの体を守る細胞の一種。寄生虫感染が起こった時に、この細胞が増えて寄生虫を攻撃します。一方で、アレルギーにおいても重要な役割を担い、アレルギー反応を起こす細胞とも言われています。
生体反応において消防士の役割をしていると例えられますが、アレルギーを起こすこともあり、善玉か悪玉かいろいろ議論されています。
好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に多発性の鼻茸(はなたけ)ができ、手術をしてもすぐに再発する難治性の慢性副鼻腔炎です。
鼻茸とは、鼻や副鼻腔の壁(粘膜)が炎症によって腫れて垂れ下がり、キノコ状になったものです。 鼻茸が出来ると鼻づまりや匂いを感じづらくなる原因になります。 慢性的副鼻腔炎(蓄膿症)に付随する一つの病状で、鼻ポリープとも呼ばれます。
一般的な慢性副鼻腔炎は、抗菌薬と内視鏡を用いた手術でかなり治りますが、
この副鼻腔炎は手術をしても再発しやすく、ステロイドを内服すると軽快する特徴があります。
すなわち、ステロイドが最も有効な治療法です。
しかし病気自体は、生命に危険を及ぼさないので、ずっとステロイドを服用することは避けた方が良いとされます。
この鼻茸を顕微鏡で調べると好酸球という免疫細胞が多数認められます。
この病気は、ほとんど20歳以上の成人になってから発症します。15歳以下の子供では発症しません。
副鼻腔炎の人は、日本に100万人から200万人いると言われています。
そのうち鼻茸が存在するような慢性副鼻腔炎患者が20万人います。
好酸球性副鼻腔炎の中等症・重症の人は、20万人の中の10分の1にあたる約2万人です。現在も増加傾向にあります。
どのような人に多いのですか
気管支喘息の人や、アスピリンなどの解熱剤などで喘息を起こしたりショックを起こしたりするアスピリン不耐症の人に多く起こります。
また薬物アレルギーの人にも起こります。
男性の方が女性よりも多い病気です。平均年齢は50~55歳です。
この病気の原因は?
鼻、気管、肺すべてに関連する全身性の呼吸器疾患であり、鼻だけの病気ではないと考えられています。
何かの原因で全身の病気が起こり、鼻では好酸球性副鼻腔炎が起こります。
気管や肺では気管支喘息が起こります。
アスピリンを飲むと全身反応や呼吸が苦しくなるのではないかと想定されています。
ウイルス感染が起こると好酸球性副鼻腔炎の病状は、急激に悪化します。特に鼻茸は大きくなります。
どのような症状がおきますか
においがわからない嗅覚障害が起こります。
鼻はつまり、粘稠な鼻汁がでます。両側の鼻とも同じような症状を示します。
気管支喘息発作を起こすことがあります。
難聴を示すことがあり、耳がつまります。
耳だれが出ると、とても粘稠で止めることはかなり困難です。
血液検査において好酸球がたくさん血液中に現れます。
鼻のCTを撮影すると目と目の間の所(篩骨洞)に影が認められ、その影は頬の所の上顎洞よりも濃く、重症であることが特徴です。
この病気の治療法は?
汚い鼻汁が出ている場合には、まず抗菌薬を内服します。
透明な鼻汁になってもにおいが戻らなく、鼻づまりが続く場合(鼻茸が存在する場合)には、ステロイドを内服させます。
これで鼻茸が縮小し、においが戻るなどの症状改善が認められます。
ステロイド内服は、約3ヵ月間減量しながら継続します。症状が軽快したら、一旦終了します。
しかし鼻茸が大きくなってくると、内視鏡を用いた手術を行います。
耳だれが出現するとステロイドの内服をしない限り、耳だれが止まることはありません。
耳の閉塞感も同様です。これは「 好酸球性中耳炎 」と言って、鼓膜の奥にある鼓室に好酸球が集まり 炎症反応 を起こすためです。
日常生活での注意点は?
風邪をひくと症状は悪化するので、規則正しい生活と帰宅後には必ず手洗い、うがいをした方がよいです。
最後に
以前から、頑固な慢性副鼻腔炎というイメージを持っていましたが、今回調べてとても恐ろしい病気だと感じます。
内服はステロイド剤しか奏功薬がなく、止めるとまた再発します。
遺伝要素があるのかどうかまだわかっていないようです。
慢性難治性呼吸器疾患の1つと考えて間違いなさそうですね。
以上、ご参考になれば幸いです。