これから肌寒い冬がやってきます。冷え性の方はつらいですね。
近年は過ごしやすい秋が短くて、急に冷える日がすぐやってくる印象があります。
冷え性とは、検査や診察で特に異常はみられないものの、
「手足など身体が常に冷えている状態」をいいます。
本来、寒さを感じない温度であるにもかかわらず、つらいほど寒さを感じてしまいます。
また、手足が冷たい、体が冷えるという症状以外にも、
冷え性で現れる症状は次のようなものが挙げられます。
- 体温が低い、季節を問わず寒い
- 手足が冷たい、温まらない
- 身体がだるい、疲れやすい
- 不眠、寝つきが悪い
- 頻尿になる
そこで今日は、手足が冷たいとき、トイレが近いときなどに用いる漢方をご紹介します。
症状や体質によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
体が冷える、手足が冷たい、食欲低下、胃もたれ、腹痛、軟便などの消化器系のトラブルがある場合
気を養い、体を温める漢方薬が有効です。
例えば、「人参湯」や「加味逍遙散」などがあります。
手足に顕著な冷えがあり、冬になるとしもやけができてしまうような場合
血行を改善し、水分の代謝を促す漢方薬が有効です。
「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」が有名です。
冷えによって悪化する生理痛や生理不順がある場合
血を補い、体を温める漢方薬が有効です。
例えば、「当帰芍薬散」や「温経湯」などがあります。
初老以降で体力低下、腰の痛みや重だるさ、頻尿や夜間尿、抜け毛などの症状に加えて冷えがある場合
生命エネルギーを養い、体を温める漢方薬が有効です。
例えば、「八味地黄丸」や「六神丸」などがあります。
「猪苓湯」は排尿を促すことで、菌を体の外に排出したり、膀胱粘膜を保護する効果があります。
これらの漢方薬は、西洋医学的な薬と併用することで、より効果的になることがあります。
自分の症状に合った漢方薬を選ぶためには、医師や薬剤師に相談することが大切です。
また、冷え性や頻尿の原因が病気によるものである場合は、早めに治療を受ける必要がありますね。
ためらわずに、まず内科、循環器内科、泌尿器科、婦人科、漢方内科などを受診してください。
次に、漢方薬の豆知識を7つご紹介します。
①漢方薬は中国から伝わった医学を日本の風土や体質に合わせて発展させたもので、日本の伝統医学です。
②漢方薬は複数の生薬(植物や動物、鉱物などの自然素材)を組み合わせて作られており、体全体のバランスを調え、自然治癒力を高めることを目的としています。
③漢方薬は一人ひとりの体質や症状に合わせて処方されるため、オーダーメイド治療ともいわれます。
④漢方薬は西洋薬と異なり、直線的な用量反応関係にはないことが多く、病気の状態や患者さんの体質に応じて増減量したり、複数の漢方薬を併用したりすることもあります。
⑤漢方薬には副作用がないというわけではありません。特に甘草、麻黄、大黄などは注意が必要です。
⑥漢方薬は民間薬とは異なり、医学的に認められた薬です。民間薬との併用は相互作用を起こす可能性があるので避けるべきです。
⑦漢方薬は虚弱体質、加齢による症状、胃腸症状、精神症状、婦人科系の症状などに得意とする症状があります。
最近は入手できない漢方薬があるので、薬局は信頼できる「かかりつけ薬局」の1店舗に決めると良いかもしれませんね。