花粉症の原因となる花粉の種類や飛散時期、治療薬の服用期間について解説します。
花粉症の原因となる花粉の種類と飛散時期
春先(2~4月ごろ)にはスギやヒノキの花粉が飛散し、スギ花粉症が多く見られます。
5月ごろにはイネ科の花粉が飛散し、特に飛散量が多くなります。
9月ごろにはブタクサやヨモギなどのキク科の花粉が多く飛散します。
花粉症治療薬の服用タイミング
花粉の飛散が始まる頃から治療薬の服用を開始することをおすすめします。これを「初期療法」と呼びます。
花粉症の症状が出ている方は、花粉が飛び始める前に病院を受診し、いつでも服用できるように準備しておくと良いです。
花粉症治療薬の服用期間
花粉の飛散が少なくなる4月の終わりまで、継続して服用する必要があります。
症状が全くないからといって花粉の飛散量が多い時期に服用を中止しないように注意しましょう。
花粉症を予防するには、以下の方法が役立ちます。
花粉を避ける
外出時はできるだけマスクを装着しましょう。
外出時はサングラスやメガネをかけることで、目のかゆみを軽減できます。
帰宅時は、洋服についた花粉を叩いてから入室することで免疫細胞が正常に働きます。
ストレスをためないように心掛けましょう。
体温を上げる
平均体温が1度下がると免疫力は約37%下がり、平均体温が1度上がると免疫力は約60%活性化すると言われています。
お風呂につかることで体温を上げましょう。睡眠を促す効果も期待できます。
笑う
笑うことで自律神経が刺激され、免疫力を高めます。
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法のメリットとデメリット
メリット
対症療法で改善しなかった人に効果が出る可能性があります。
治療終了後も効果がある程度持続します。
デメリット
他の治療に比べ、投与部位(舌下なら口、のど、腹部、皮下なら注射部位)の疼痛や違和感などの副作用が出やすいです。
治療継続の推奨期間が3年以上と長期間に及びます。
稀にアナフィラキシーが起こる可能性があります。
舌下免疫療法
《特徴》
自宅で簡単に服用できます。
毎日の服用が必要です。
服用前後2時間は激しい運動や入浴、飲酒を避ける必要があります。
治療薬の費用(3割負担での概算)1,500円/月程度
舌下免疫療法のスケジュール例
治療開始から1週間後までは増量期。
1週間後から3年以上は維持期。
皮下免疫療法
《特徴》
毎日の投薬は不要です。
開始後半年間は数日~2週間毎、それ以降は1か月毎の受診を要します。
皮下注射の疼痛があります。
治療に係る費用(一例)600~2,500円/月程度。
皮下免疫療法のスケジュール例
皮治療開始から2か月後までは週2回、少しずつ増量。
約2か月後からは週1回同量維持。
約3か月後からは2週に1回、同量維持。
約5か月後以降は月に1回、同量維持。
Q & A
Q.治療すれば必ず治りますか?
約8割の患者さんで症状の改善が認められています。
治療が効き、アレルゲン免疫療法を終了した後でも多くの患者さんで効果が持続します。
Q.副作用はありますか?
舌下免疫療法では、頻度の高い副作用として、口腔内の腫れ、かゆみなどがありますが、多くの場合、30分程で改善します。
ごくまれにアナフィラキシーなどの全身の副作用が起きます。
Q.誰でも受けられる治療ですか?
医師からスギ花粉症と診断された方が対象です。
喘息、自己免疫疾患の患者さんや全身性ステロイド薬や抗がん剤、一部の降圧剤など使用中の患者さんや、歯科治療中の方などは受けられません。
なお、舌下免疫療法については、5歳未満の子供様は受けられません。治療開始前に必ず主治医の診察を受けて確認してください。
Q.アレルゲン免疫療法は、花粉飛散期に始められますか?
花粉飛散期は、花粉に対するアレルギー症状が増強している時期です。
この時期にアレルゲン免疫療法を開始すると、副作用としてアレルギー症状が強く表れることがあるため、花粉飛散が終息したのちに開始することが推奨されます。
最後に
今や国民病となった花粉症てすが、治療方法も研究されているようです。
2020年より、重症・最重症のスギ花粉症に対して、2月~5月に抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)を皮下注射する治療(保険適応)を行うことができるようになりました。
などの方にとっては、検討する価値の高い治療薬です。
対象は12歳以上で、4週間ごと(又は2週間ごと)に注射します(2-5月に行います)。
シーズン中、従来の治療法(抗ヒスタミン薬など)で1週間以上治療し、コントロール不良な方が対象になります。
費用はゾレア®︎の薬剤費のみで1か月あたり、3割負担の方で約4444円〜69953円かかります(投与量・回数によって金額が変わります)。
その他、受診、検査にかかる費用、同時に服用し続ける必要のある抗ヒスタミン薬の処方費などがかかるようです。
稀ですが、めまい、疲労感、傾眠などの副作用が報告されており、主治医とよく相談しましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。