「糖尿病の合併症を詳しく学ぼう(糖尿病−7)」のときに、ご紹介した内容の続きになります。
前回は基本的な内容でしたが、今回は実際のデータを見ながらお話します。
三大合併症は、糖尿病になってから5〜10年で現れ始めます。
血糖コントロールが悪いほど、早く出現するといわれています。
一方、心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化は、
血糖値が少し高い時期 (境界型)、いわば、”糖尿病予備群“のころから進むようです。
高血圧や脂質異常症、 肥満、喫煙習慣などがあると、動脈硬化はさらに進行しやすく、
厳格な血糖コントロールを行い、生活習慣の改善に努めるなど、注意が必要です。
糖尿病の合併症で最も多いのが、三大合併症といわれる神経障害、 網膜症、腎症です。
前回の内容で「しめじにえのき」とお話した「しめじ」の部分です。
▼下の図にあるように、「し→め→じ」の順で起こります。
これらは、高血糖によって網膜や腎臓などの細い血管、神経などが障害されて起こります。
悪化すると‥‥
という現実のデータがあります。
さらに「透析治療」と「寿命」について日本透析医学会が2011年に発表した統計をご紹介します。
当時、人工透析導入を開始した平均年齢は男性が66.9歳、女性の導入時平均年齢は69.7歳。
全体の導入時平均年齢は67.8歳でした。
人工透析患者の生存率ですが、日本透析医学会のデータによると、
1年経過で88%、5年経過で60%、10年経過で35%、15年経過で22%という結果が出ています。
最後に
三大合併症を防ぎ、進行を遅らせ、
さらに健康寿命を延ばすためにも、
血糖コントロールをきちんと行い、定期的に検査を受けることがとても大切です。
薬剤師の皆様は、現状を理解しながら患者様へ適切な療養指導を行ってください。
以上、ご参考になれば幸いです。