慢性副鼻腔炎によく使われる抗菌薬
①マクロライド系抗菌薬
慢性副鼻腔炎の薬物治療の中心となる抗菌薬です。
クラリスロマイシン(クラリス®・クラリシッド®)が有名です。
これらの薬は、細菌を殺す作用はあまり期待せず、炎症を抑えたり、分泌物を減らしたりする作用があります。
つまり鼻腔内環境の改善を目的としています。
投与方法は副鼻腔炎の場合、分1〜分2で、半量〜常用量を2~12週間と長期になることがあります。
例えばクラリシッド®とクラビット®の併用はあります。抗菌作用は、クラビット®に期待しています。
②ペニシリン系抗菌薬
慢性副鼻腔炎の急性増悪時に、原因菌に応じて使用される抗菌薬です。
作用機序は、細菌の細胞壁を合成阻害します。細胞壁を持たない微生物には効きません。
人の細胞は細胞壁を持たないため、人への副作用はアナフィラキシー、下痢以外は少ないです。
薬剤は、アモキシシリン(サワシリン®)が有名です。
症状が強ければ、β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン(オーグメンチン®など)が処方されます。
これらの薬は、細菌を殺す作用があります。通常は5~7日間内服します。
③ニューキノロン系抗菌薬
慢性副鼻腔炎の急性増悪時に、重症の場合に使用される抗菌薬です。
DNA複製を阻害する抗菌薬であり、多くの細菌を死滅させることができます。(広域スペクトル抗菌薬)
レボフロキサシン(クラビット®)、ジェニナック®などがあります。
マグネシウム剤、アルミニウム配合胃薬などを併用する場合、2時間以上あけます。
これらの薬は、ペニシリン系に耐性を持つ菌にも効果があります。通常は5~7日間内服します。
④セフェム系抗菌薬
慢性副鼻腔炎の急性増悪時に、原因菌に応じて使用される抗菌薬です。
セフェム内服 第3世代のセフジトレンピボキシル(メイアクト®)、セフカペンピボキシル(フロモックス®)
第2世代セフジニル(セフゾン®)などがあります。
これらの薬は、ペニシリン系同様、細胞壁合成阻害作用があります。通常は5~7日間内服します。
最後に
これらの抗菌薬は、自己判断で服用するのは危険なので、必ず医師の指示に従ってください。
通常は、処方当日より開始、なくなるまで飲み切ります。
副作用は、腸内環境が乱れることによる下痢が見られることがあります。
全身発疹、かゆみなどのアナフィラキシー症状があれば、服薬中止し主治医へ連絡してください。
その薬剤の名前をメモしておき、薬剤師に必ず伝えてくだい。
もう1回飲むと、さらに強いアナフィラキシー症状がでることが多いです。
体の免疫反応は個人差があり、確実にチェックする必要があります。
ご参考になれば幸いです。