抗菌薬を詳しく知るために、避けては通れない道が細菌、真菌など微生物の分類です。
抗菌薬の添付文書ほど、適応菌種、適応症など文面が全体的にわかりにくい薬は他にないような気がします。
大まかな分類が頭にあれば、どの微生物にどの抗菌薬が有効か、ある程度わかってきます。
逆に処方せんで抗菌薬を見れば、どんな微生物をフォーカス(感染症を起こしている菌を叩く医療用語)しているのか何となく想像できます。
私の感覚では、病院薬剤師と薬局薬剤師では、抗菌薬の見かたが違います。
病院薬剤師は感染部位や重症度(熱やCRP)から見ていき、抗菌薬の選択・用法は医師が決め、特定の薬の血中濃度による評価は薬剤師が担う感じです。
薬局薬剤師は、当日から処方通り飲みきること、アナフィラキシー、下痢といった副作用の情報提供をすることなどがメインで抗菌薬の必要性や効果判断は通常できません。
何れにしても微生物が関与していることが結構抜けていると思います。
菌やウイルスのない感染症は存在しないのです。
前置きが長くなりましたが、
これからの時代の薬剤師が知ってほしい抗菌薬・感染症をシリーズで書いていこうと考えています。
なるべく薬局薬剤師目線でお伝えできればと思います。
細菌のグラム染色による分類とは、
細菌の細胞壁の違いによって青色に染まるグラム陽性菌と赤色に染まるグラム陰性菌に分ける方法です。
また、細菌の形態によって球菌と桿菌に分けることもできます。
グラム染色による分類は、次の4つになります。
グラム陽性球菌
グラム陽性桿菌
グラム陰性球菌
グラム陰性桿菌
グラム陽性球菌には、
肺炎球菌、連鎖球菌(溶連菌を含む)、腸球菌(E.フェカーリス・フェシウム)、ブドウ球菌属(黄色・表皮ブドウ球菌など)などがあります。
グラム陽性桿菌には、
クロストリジウム属(C.ディフィシルなど)、ジフテリア、リステリア、アクネ菌、乳酸菌やビフィズス菌、マイコバクテリウ厶、結核菌などがあります。
グラム陰性球菌には、
モラクセラ・カタラーリス、髄膜炎菌、淋菌などがあります。
〈数は少ないです〉
グラム陰性桿菌には、
大腸菌、肺炎桿菌、インフルエンザ桿菌、緑膿菌、サルモネラ菌、コレラ菌、腸炎ビブリオ、バクテロイデス属(嫌気性菌)などたくさんあります。
〈赤文字の菌は、今までによく関わったことがあるものです〉
グラム染色による分類は、感染症治療・抗菌薬適正使用において重要な情報となります。
大学で学んだことを覚えていれば良いですが、忘れていてもシンプルに理解すれば大丈夫だと思います。
私自身、大学で勉強した微生物学はすっかり忘れていました。
30歳を超えて感染制御認定薬剤師を目差すと、大事なことがたくさんあったんだなと後悔しましたね。
もし今薬学生ならば微生物学を手を抜かずに勉強してください。
今回ご紹介した4つの分類による細菌は全て「細胞壁」があることは理解してください。
グラム陽性菌の細胞壁は分厚いです。グラム陰性菌には薄い細胞壁の外側に脂質二重膜の外膜があります。
特にグラム陽性球菌とグラム陰性桿菌が重要ですね。
今日は、以上です。
ご参考になれば幸いです。