芍薬甘草湯はこむら返りに何故早く効く?
以下の文章は、「月替わり日経DIクイズ、2023.12.18」の記事を参考にしています。
こむら返りについて
筋肉けいれんのメカニズム
運動神経から筋肉に収縮する指令が伝わり筋肉組織の細胞にカルシウム(Ca)イオンが流入し、カリウム(K)イオンは流出します。
中枢神経に過剰な筋肉の収縮の指令が伝えられると痙攣やこむら返りが起きやすくなります。
K、Ca、Mgといった電解質の異常や不足、脱水などが誘発する大きな要因です。
治療薬としては、末梢性筋弛緩薬や芍薬甘草湯がよく使用されます。
芍薬甘草湯に含まれる芍薬と甘草が、鎮痛作用と筋弛緩作用を有すると考えられています。
即効性の理由は、芍薬に含まれるペオニフロリンが筋肉が収縮するために必要なCaイオンの細胞内流入を抑制し、筋肉の収縮を抑えるとされています。
芍薬甘草湯は効果が早く現れることもあって高頻度で処方されます。
芍薬甘草湯の添付文書には「急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛」とあり、頓服での服用が想定されています。
こむら返りは患部を温めて、ゆっくり伸ばす
スポーツなどによる外傷がないこむら返りでは、血流が悪くなるため患部を冷却する行為は避けて温めます。
患部を急に伸ばすと筋肉が余計に縮もうとするため、筋肉の痙攣している方向と逆の方向にゆっくり伸ばします。
漢方薬は副作用が少ないというイメージを持っている方が多いですね。
甘草(グリチルリチン酸)が含まれているため、副作用の「偽アルドステロン症」や「ミオパチー」などに注意しましょう。
偽アルドステロン症は、高血圧や低K血症など、原発性アルドステロン症と同様の症状があるにもかかわらず、アルドステロン高値を示さない病態です。
ミオパチーとは、筋肉の疾患を総称した言葉です。
こむら返りには芍薬甘草湯(68番)があまりにも有名ですが、調べると面白い薬理学がありました。
ご参考になれば幸いです。