▶【5型糖尿病】ってあるの?最新の話題を詳しくご紹介!

糖尿病
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【5型糖尿病】ってあるの?最新の話題を詳しくご紹介!

「糖尿病」と聞くと、インスリンが出なくなる「1型」や、生活習慣病として知られる「2型」を思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし、近年、世界の糖尿病分類に大きな動きがあり、「5型糖尿病」という新しい分類が注目を集めています。

「え、5型なんてあったの?」と思われるかもしれませんね。

今回は、その「5型糖尿病」の最新情報について、具体的に掘り下げていきましょう!

 

世界が注目!「5型糖尿病」とは?

結論から言うと、「5型糖尿病」は、2025年4月に国際糖尿病連合(IDF)によって正式に分類として認定された、比較的新しい概念です。

これは、IDFがタイ・バンコクで開催した世界糖尿病会議での決定に基づいています。

 

その正体は「栄養失調関連糖尿病」

「5型糖尿病」は、これまで「栄養失調関連糖尿病(Malnutrition-Related Diabetes Mellitus: MRDM)

として知られていた病態に、国際的な関心を集める目的で、より明確な名前を与えたものです。

主な原因

深刻な栄養不足、特にタンパク質や微量栄養素の不足が、

インスリンの作用や分泌に影響を及ぼして発症すると考えられています。

発症しやすい人々

主にアジアやアフリカの低・中所得国で、痩せ型の10代や若年成人に多く見られます。

貧困地域における慢性的な栄養不良が背景にあるため、

「Type 5」という名前で、この病態に対する世界的な注意と支援を集めようという意図があります。

 

他の型との決定的な違い

1型や2型と区別されるには、明確な病態の違いがあります。

1型糖尿病との違い

1型は自己免疫の異常でインスリンを出す膵臓の細胞が破壊されます。

5型は自己免疫の関与は少なく、栄養不足が主因です。

2型糖尿病との違い

2型はインスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」が中心的な病態ですが、

5型糖尿病の患者さんは、インスリンの分泌量は少ないものの、「インスリン抵抗性はほとんどない」という独特な代謝プロファイルを持つことが、

米国アルバート・アインシュタイン医科大学のMeredith Hawkins教授ら、インドのNihal Thomas教授らによる近年の研究で明らかになってきました。

「インスリン抵抗性がない」という点が、従来の分類に当てはまらない、

本質的に異なる疾患であると認識された大きな理由です。

 

診断と治療の考え方

5型糖尿病の認定は、診断と治療に大きなパラダイムシフトをもたらします。

 

治療の基本戦略

インスリン抵抗性がないため、治療においては特に慎重さが求められます。

栄養状態の改善が最優先

治療の核心は、単に血糖を下げることだけではありません。

最も重要なのは、

タンパク質や微量栄養素を含む適切な栄養補給によって、栄養失調の状態を改善することです。

インスリンの必要性

自身のインスリン分泌量が少ないため、多くの場合、インスリン治療が必要になります。

しかし、

インスリン抵抗性がないため、過剰なインスリン投与は重度の低血糖を引き起こす危険性があります。

このため、少量のインスリンや経口薬での管理が可能とされるケースも多く、非常に繊細な調整が必要です。

費用対効果の高い治療

低所得国では、インスリンの確保や自己注射の継続が難しい場合があります。

そのため、経口薬での管理が可能であることは、現地の医療体制にとって大きな意義を持ちます。

 

誤診を防ぎ、光を当てる

これまでこの病態は、1型や2型、あるいは「その他の特定の型の糖尿病(例:膵臓病による3c型)」として誤診されてきた可能性があります。

5型として正式に分類されることで、世界中で推定2,000万〜2,500万人が影響を受けているとされるこの疾患に、

適切な診断と、その病態に合った最適な治療を提供できるようになることが期待されます。

 

日本での「5型糖尿病」の現状と課題

「5型糖尿病」がIDFに認定されたとはいえ、すぐに日本の医療現場で診断名として使われるわけではありません。

 

日本ではまだ正式な診断名ではない

現時点では、

日本糖尿病学会(JDS)やアメリカ糖尿病学会(ADA)は、「5型糖尿病」を公式な診断名としては採用していません。

しかし、これは「5型的な病態」が日本に存在しないことを意味するわけではありません。

 

日本で注目すべき「5型的な病態」

日本のような高所得国でも、一部の集団において、栄養不足と糖代謝異常が関与する同様の病態が注目されています。

摂食障害の患者さん

過度な食事制限や拒食症による重度の栄養不足は、膵臓やインスリンの働きに悪影響を及ぼし、

5型糖尿病に似た状態を引き起こす可能性があります。

高齢者

貧困や独居、咀嚼嚥下機能の低下などにより、慢性的な低栄養状態に陥っている高齢者も、同様の病態を呈するリスクがあります。

過度なダイエット

極端な糖質制限や偏ったダイエットを長期的に行う若年女性なども注意が必要です。

日本ではまだ「5型糖尿病」という名前で診断されることはありませんが、

医療現場では、糖尿病の患者さんの栄養状態を、今まで以上に深く、多角的に評価する必要があるという視点の変化が求められています。

 

 まとめ:未来への展望

「5型糖尿病」の国際的な認定は、糖尿病という病気が、インスリンや遺伝だけでなく、

栄養」という環境因子と密接に関わっていることを、世界に改めて認識させる出来事です。

国際糖尿病連合(IDF)は現在、5型糖尿病に関する診断基準の策定、医療従事者への教育、研究レジストリの整備を進めています。

この取り組みが進むことで、世界中で苦しむ多くの人々に適切なケアが行き届くことが期待されます。

日本においても、今後IDFのガイドラインが発表されれば、国内の学会でも議論が進み、

新たな病型として正式に採用される日が来るかもしれません。

私たちは、この新しい知見を通じて、糖尿病の予防と治療、

そして栄養状態の大切さについて、より深い理解を深めることが求められています。

以上、ご参考になれば幸いです。

 

参考資料

国際糖尿病連合(IDF)関連情報 (IDFによる正式な発表や、専門家による解説などが含まれている可能性があります)

https://onoyuri-clinic.jp/archives/4563 (栄養不足が原因の「5型糖尿病」とは? 国際糖尿病連合が新分類を発表)

 https://note.com/quirky_tucan9136/n/nf3ac393a293e (栄養不足が引き起こす新たな糖尿病「5型糖尿病」— その正体と今後の展望)

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