スマホやPCの見過ぎで目が重い……そんな時に眼科でよく処方される赤い目薬、シアノコバラミン(サンコバなど)。
最近、薬局で「在庫がなくてお出しできません」と言われたり、別の薬を提案されたりすることが増えていませんか?
「たかが目薬なのに、どうして?」と思うかもしれませんが、
今回は、なぜシアノコバラミンが手に入りにくくなっているのか、その理由を深掘り解説します。
1. そもそも「出荷調整」って何?
まず言葉の整理から。
ニュースなどでよく聞く「出荷調整」とは、メーカーが「注文された分をすべて出荷できないので、
過去の実績に基づいて配分を制限する」という状態です。
完全に生産が止まっているわけではありませんが、
需要に対して供給が追いついていないため、市場では「品薄・欠品」として現れます。
2. 理由その①:他社メーカーの不祥事と連鎖反応
これが最大のトリガーです。
これにより、多くのメーカーが業務停止命令を受け、数千品目もの薬が市場から消えました。
「シアノコバラミンは関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、大ありなんです。
- A社が作れなくなる
- A社の薬を使っていた人がB社やC社の薬に流れる
- B社やC社の在庫がなくなる
この「ドミノ倒し」によって、不祥事を起こしていない優良なメーカーの製品までもが、
押し寄せた需要に応えきれず出荷調整に追い込まれました。
3. 理由その②:原料調達の不安定化とコスト増
シアノコバラミン(ビタミンB12)の原料は、その多くを海外に依存しています。
昨今の不安定な国際情勢や、物流コストの上昇、さらに円安の影響が直撃しています。
この「逆ザヤ」に近い状況が、メーカーの増産意欲や生産体制の維持を困難にしています。
4. 理由その③:限定的な製造ライン
目薬の製造には「無菌設備」という非常に特殊で高度な工場ラインが必要です。
現在、多くのメーカーは他の重要な薬(抗生物質や血圧の薬など)の供給を優先せざるを得ない状況にあります。
命に直結する薬の生産ラインを確保するため、
5. 最新の状況:いつ解消されるの?
2026年現在、状況は少しずつ改善の兆しを見せているものの、依然として「完全復活」には至っていません。
一部のメーカーでは販売中止を決定したところもあり、残ったメーカーにさらに負担がかかるという悪循環も続いています。
厚生労働省も対策に乗り出していますが、製造ラインの増設には年単位の時間がかかるため、
あと数年は綱渡りの状態が続くと予想されます。
私たちができること
もし、いつもの赤い目薬が手に入らなくても、薬剤師さんを責めないであげてください。
彼らも問屋さんに必死に交渉して、なんとか在庫を確保しようと奔走しています。
代替案としての選択肢
同成分の市販薬
処方薬と全く同じではありませんが、シアノコバラミンを配合した市販の目薬はドラッグストアで購入可能です(ただし、全額自己負担となります)。
別の成分への切り替え
ネオスチグミンメチル硫酸塩など、ピント調節機能を改善する他の成分の目薬を医師に相談してみる。
目を休める
究極の対策ですが、20分に一度は遠くを見る、目を温めるなど、物理的なケアを強化しましょう。
「いつもの薬がある」という日常は、実はとても繊細なバランスの上に成り立っています。
一日も早く、必要な人に必要な薬が届く平穏な状況に戻ることを願うばかりです。
以上、ご参考になれば幸いです。
