こんにちは!
今回は、2025年に登場したてんかん治療の待望の新薬「スピジア点鼻液」について、その特徴から具体的な使い方まで、詳しく解説していきます。
この薬は、これまでの「てんかん重積状態」の治療における常識を大きく変える可能性を秘めた、非常に重要なレスキュー薬(緊急時に使う薬)です。
1. スピジア点鼻液とは?:その画期的な特徴
スピジア(一般名:ジアゼパム)は、てんかんの激しい発作(てんかん重積状態)が起きた際に、その発作を止めるために使用される点鼻薬です。
これまで、てんかん重積状態の治療といえば、病院での点滴(静脈内投与)や、家庭・屋外であれば坐剤(坐薬)の使用が一般的でした。
しかし、スピジアには以下の大きな特徴があります。
鼻にシュッとするだけの「経鼻投与」
坐薬のように衣服を脱がせる必要がなく、外出先や公共の場でもプライバシーを守りながら、迅速に投与することが可能です。
医師以外でも投与が可能
スピジアは、医師や看護師だけでなく、あらかじめ指導を受けた保護者や家族、介護者などが「医療機関の外」で投与できるレスキュー薬として承認されています。
これにより、救急車が到着するまでの「空白の時間」に、その場で迅速な処置が行えるようになりました。
優れた速効性
鼻粘膜は血管が非常に豊富で、脳に近い場所です。そのため、投与後すみやかに成分が吸収され、脳に届くことで素早い効果が期待できます。
2. 適応と効果:どのような時に使うのか
スピジアが使われるのは「てんかん重積状態」です。
医師から「こういう症状が出たら使ってください」と具体的に指示された場合にのみ使用する、いわばお守りのような役割を果たします。
3. 用法・用量:年齢と体重による違い
スピジアには、5mg、7.5mg、10mgの3種類の規格があります。
通常、2歳以上の小児および成人に使用されます。
投与量の目安
患者さんの年齢や体重によって、1回に投与する量が決まります。
- 5mgを投与する場合:片方の鼻に1回(5mg製剤を1本)
- 10mgを投与する場合:片方の鼻に1回(10mg製剤を1本)
- 15mgを投与する場合:両方の鼻に分けて1回ずつ(7.5mg製剤を2本)
- 20mgを投与する場合:両方の鼻に分けて1回ずつ(10mg製剤を2本)
注意点
1回の投与で発作が止まらない場合、
ただし、
4. 使い方のステップ:緊急時に迷わないために
スピジアは「1回使い切り」の使い捨てデバイスです。
1. 準備
容器をアルミ袋から取り出します。この時、容器の先端(ノズル)には触れないようにしてください。
2. 姿勢
患者さんを仰向けにするか、座った状態で頭を少し後ろに傾けます。
3. 挿入
ノズルの先端を片方の鼻の穴に差し込みます。指をかける部分(プランジャー)にはまだ触れません。
4. 噴霧
ノズルをしっかり差し込んだら、親指でプランジャーを一気に、カチッと音がするまで押し込みます。
5. 確認
薬が噴霧されたことを確認し、容器を鼻から抜きます。
2本使う指示がある場合は、もう片方の鼻の穴でも同じ操作を繰り返します。
5. 使用後の対応:投与して終わりではありません
スピジアを使用したら、必ずその後の経過を観察し、救急搬送の手配など、事前に医師と決めておいた緊急対応を行ってください。
呼吸の確認
ジアゼパムという成分には、副作用として呼吸が弱くなる(呼吸抑制)可能性があります。
胸の動きや顔色を注意深く見てください。
10分ルール
空容器の保管
「いつ、何mg投与したか」を正確に伝えることが、その後のスムーズな治療につながります。
6. 保管上の注意:お守りを守るために
スピジアはデリケートな薬です。
常温保存
1℃〜30℃の室温で保管してください。
冷蔵・冷凍禁止
冷蔵庫に入れると成分が変化したり、噴霧器が故障したりする原因になります。
衝撃を避ける
落としたり強い衝撃を与えたりすると、いざという時に作動しない恐れがあります。
まとめ:新しい選択肢がもたらす安心感
スピジア点鼻液の登場は、てんかんと向き合う患者さんやそのご家族にとって、大きな安心材料となります。
場所を選ばず、誰でも迅速に投与できるこの薬は、日常生活の質(QOL)を大きく向上させる一助となるでしょう。
ただし、非常に強力な薬ですので、必ず主治医の指示を仰ぎ、適切なタイミングと方法で使用することが大切です。
この記事が、最新の医療情報を整理する一助となることを願います。
以上、ご参考になれば幸いです。
