アストル・ピアソラの不朽の名作『リベルタンゴ』。
チェリストにとって、この曲をいかに「カッコよく」、そして「自分らしく」弾くかは永遠のテーマですよね。
ヨーヨー・マによる情熱的な演奏から、現代の2CELLOSのようなロックなアプローチまで、リベルタンゴは常に進化し続けています。
今回は、2026年現在のトレンドも踏まえ、
チェロでリベルタンゴを弾く際の「アドリブの極意」と「カッコよく聴かせる最新のテクニック」をブログ風にご紹介します。
1. なぜリベルタンゴは「アドリブ」が命なのか?
リベルタンゴの構造は、実は非常にシンプルです。
一定のリズムを刻む伴奏の上で、16小節のメロディが何度も繰り返されます。
そこで重要になるのが、「装飾」と「アドリブ」です。
ピアソラ本人の演奏を聴いても分かるとおり、
チェロという楽器の特性を活かし、情熱的かつ知的なアドリブを加えることで、この曲は初めて完成します。
2. カッコいいアドリブを作る「3つのステップ」
初心者から上級者まで使える、最新のアドリブ構築法をステップ別に解説します。
ステップA:メロディの「崩し」から始める(初級〜中級)
いきなり全く別の音を弾く必要はありません。まずは既存のメロディの「リズム」を揺らすことから始めましょう。
シンコペーションの強調
拍の裏から音を出す、あるいは音を少し遅らせて「ため」を作ることで、タンゴ特有の粘り気を出します。
グリッサンドの魔法
音と音の間を「ヌルッ」と繋ぐグリッサンド。
特に高音域へ上がる際にこれを入れるだけで、一気にセクシーな響きになります。
ステップB:タンゴ特有の「特殊奏法」を混ぜる(中級〜上級)
現代のチェロ奏者がよく使う、パーカッシブなテクニックを取り入れましょう。
アラストレ(Arrastre)
弓を弦に押し付け、音が出る直前に「ズッ」というノイズを入れる技法。
これがリベルタンゴの「毒」になります。
ボウ・ピッツィカート
弓で弾きながら、空いている指で弦を弾く。
リズムセクションのような厚みが生まれます。
チョップ(Chops)
弓の根元を弦に叩きつけるようにしてリズムを刻む、ブルーグラスやジャズで使われる最新の奏法です。
これを中盤のアドリブ・セクションに入れるのが今のトレンドです。
ステップC:音階(スケール)で攻める(上級)
リベルタンゴは主に A マイナー(イ短調)で進行します。アドリブで使うべきは以下の2つです。
ハーモニック・マイナー・スケール
異国情緒あふれる、タンゴらしい響き。
ブルース・スケール
現代的なアレンジにするなら、あえてジャズやロックの要素を入れるのがカッコいい。
Eb(ミのフラット)の音をブルーノートとして混ぜるだけで、一気に都会的なリベルタンゴに変わります。
3. 最新トレンド:2026年のリベルタンゴ・スタイル
最近のチェロ界では、「静と動のコントラスト」を極端につけるスタイルが好まれています。
静のパート
弱音器(ミュート)を使い、わざとカサカサした「スル・ポンティチェロ(駒寄りでの演奏)」で、消え入りそうな声で囁くようにアドリブを展開。
動のパート
一転して、チェロの C 線(最低音)を力いっぱい鳴らし、重戦車のような迫力でリフを刻む。
この「落差」が、聴衆を飽きさせないポイントです。
また、最近ではルーパー(録音再生機)を使って自分の伴奏をその場で作り、その上で一人で何重にもアドリブを重ねるパフォーマンスも人気です。
4. 練習のヒント:イメージを音にする
アドリブが思いつかない時は、「物語」を想像してください。
「夜のブエノスアイレスで、一匹の黒猫が怪しく歩き回っている(静かなピッツィカート)」
「突然、激しい雨が降り出し、感情が爆発する(激しいボウイング)」
チェロは「人間の声」に最も近い楽器と言われます。
結びに:あなただけのリベルタンゴを
いかがでしたでしょうか。リベルタンゴのアドリブに「正解」はありません。
楽譜はあくまで地図。
そこから外れて、どこまで自由に羽ばたけるかが、チェリストとしての腕の見せ所です。
まずは、好きなフレーズを一つだけ変えてみることから始めてみてください。
その一音が、あなただけのリベルタンゴへの第一歩になります。
以上、ご参考になれば幸いです。
