チェロを弾いていて「なんだか最近、音が詰まった感じがする」「もっと開放的に鳴ってほしい」と感じることはありませんか?
実は、チェロの「コマ(駒)」の位置は、楽器のポテンシャルを左右する極めて重要なポイントです。
2026年現在の最新の知見を含め、チェリストなら知っておきたいコマ調整の秘密をブログ風に詳しく解説します。
コマは「音の門番」
チェロのコマは、ただ弦を支えているだけではありません。弦の振動を「表板」に伝え、
さらには楽器内部の「魂柱(こんちゅう)」を通じて裏板まで音を届ける、いわばエネルギーの伝達者です。
この「門番」が正しい位置にいないと、どんなに良い弦を張っても、どんなに高価な松脂を使っても、楽器は本来の鳴りを発揮できません。
なぜ位置が変わってしまうのか?
チェロを調弦(チューニング)する際、弦は常に糸巻き(ペグ)側に引っ張られます。
その摩擦で、コマの先端はじわじわと指板の方へ傾いていきます。
これを放置すると、コマの足が表板から浮いたり、位置がズレたりして、音が「痩せる」原因になります。
コマの位置を変えると「音」はどう変わる?
コマの位置調整には、主に「前後(指板・テールピース方向)」と「角度」の2つの要素があります。
1. 魂柱(サウンドポスト)との距離がカギ
チェロの表板の内側、ちょうどコマの右側(A線側)の足の少し後ろには、表板と裏板を支える「魂柱」という木の棒が立っています。
コマを魂柱に近づける
コマを魂柱から遠ざける
2. 弦長(スケール)への影響
コマを指板側に動かすと、弦の有効な長さ(弦長)が短くなります。
これにより、左手の指の間隔がわずかに狭まり、ハイポジションが少し楽に感じることもあります。
逆にテールピース側に動かせば、音に深みと張りが生まれます。
2026年流:理想的なコマのポジション
現在の弦楽器メンテナンスにおいて、基準とされるポイントは以下の通りです。
F字孔の刻み(ノッチ)に合わせる
左右のバランス
指板の延長線上に正しく位置しているか、左右のF字孔から等距離にあるかを確認します。
これがズレると、弦が指板から落ちそうになったり、特定の弦だけ鳴りが悪くなったりします。
「垂直」ではなく「やや後ろ重心」
テールピース側の面が表板に対して垂直(90度)になるのが、現在のセッティングの基本です。
指板側は少し後ろに傾いているように見えますが、これが弦の張力を最も効率よく受け止める形です。
注意:自分で動かしても大丈夫?
「位置を変えれば音が良くなるなら、今すぐ動かしたい!」と思うかもしれませんが、ここには大きなリスクが伴います。
警告: チェロの弦の張力は非常に強力(合計数十キロ以上)です。
不用意にコマを動かすと、パタンと倒れて表板を傷つけたり、最悪の場合、内部の魂柱が倒れて楽器が鳴らなくなったりします。
職人に依頼するメリット
プロの技術者は、単に位置を直すだけでなく、以下の点もチェックしてくれます。
- 足の密着度: 表板のカーブに100%フィットしているか。
- 弦高の調整: 弾きやすさに直結する、弦から指板までの高さを最適化。
- コマの反り: 木材が曲がっていないか確認し、必要なら蒸し直しや交換を提案。
まとめ:あなたのチェロを覚醒させるために
もし今の楽器の鳴りに満足していないなら、高いパーツを買う前に、
コマを正しい位置に戻すことは、楽器の健康診断であり、最高のチューンナップでもあります。
以上、ご参考になれば幸いです。

