▶マイザークリームは、どうして販売中止なの?

薬剤師の皆様へ
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マイザークリームは、どうして販売中止なの?

皮膚科でよく処方される強力なステロイド外用薬、「マイザークリーム」。

長年愛用してきた方や、久しぶりに処方してもらおうとした方にとって、「販売中止」という噂やニュースは驚きですよね。

「えっ、あんなに効くのにどうして?」「代わりの薬はあるの?」と不安を感じている方も多いはず。

今日は、2026年現在の最新状況を踏まえ、マイザークリームがなぜ販売中止という形になったのか、

その舞台裏と今後の見通しについて、分かりやすく解説していきます。

結論から言うと「すべてのマイザーがなくなるわけではない」

まず、一番大切なことからお伝えします。

 

「マイザー」というブランド自体がこの世から消えてしまうわけではありません。

現在、多くの混乱を招いているのは、田辺三菱製薬(製造販売:田辺ファーマ)が展開していた「マイザークリーム0.05%」の特定の包装ラインが、

2023年から段階的に整理・中止され、最終的に2026年10月をもってメーカーからの供給が完全に終了する予定だからです。

一方で、同じ成分である「マイザー軟膏」や、他社が作っている「ジェネリック医薬品(後発品)」は引き続き存在します。つまり、

薬の成分自体が禁止されたわけではなく、あくまで「田辺ブランドのクリーム剤」が幕を閉じるということなのです。

なぜ販売中止になったのか?3つの大きな理由

では、なぜ便利だったマイザークリームが販売中止の道を辿ることになったのでしょうか。

そこには、現代の医薬品業界が抱える複雑な事情が絡み合っています。

 

1. 製造コストの高騰と採算性の問題

薬も商品である以上、作り続けるにはコストがかかります。

近年、世界的な物価高やエネルギー価格の上昇により、医薬品の原材料費や工場を動かす光熱費が跳ね上がっています。

一方で、日本の医療用医薬品の価格(薬価)は国によって厳しく決められており、数年ごとに引き下げられるのが通例です。

コストは上がるのに売値は下がる。この板挟みの中で、

特に製造工程が複雑な「クリーム剤」は、メーカーにとって利益を出すのが非常に難しい製品になってしまいました。

2. ジェネリック医薬品の普及

マイザークリーム(成分名:ジフルプレドナート)は、登場から長い年月が経った「長期収載品」と呼ばれるお薬です。

すでに特許が切れており、多くのメーカーから安価なジェネリック医薬品が販売されています。

国の方針として、医療費抑制のためにジェネリックへの切り替えが強く推奨されている今、

あえて高価な「先発品(マイザークリーム)」を使い続けるメリットが市場全体として薄れてしまいました。

需要が減れば、メーカーも生産ラインを維持する動機が弱まってしまいます。

 

3. 医薬品供給の「選択と集中」

現在、日本の医薬品業界は、不純物混入問題や工場の不祥事などに端を発した「薬が足りない問題」に直面しています。

メーカーは限られた設備で効率よく薬を作る必要があり、売れ行きや採算性を考慮して、作る薬を絞り込む「選択と集中」を行っています。

田辺三菱製薬としても、経営資源をより新しい薬や、需要の高い他の製品に集中させるため、

マイザークリームの販売終了という苦渋の決断を下したと考えられます。

 

マイザークリームとマイザー軟膏の違い

「クリームがなくなるなら軟膏でいいじゃない」と思うかもしれませんが、実はここが使い心地の分かれ目です。

マイザークリーム

水分が多く、サラッとしていて伸びが良いのが特徴です。

ベタつきが少ないため、広い範囲に塗るのに適していました。

また、見た目も白く目立ちにくいため、日中の外出時にも使いやすいというメリットがありました。

マイザー軟膏

ワセリンなどの油分がベースで、ベタつきがありますが、患部を保護する力(保湿力)が非常に高く、刺激が少ないのが特徴です。

ジュクジュクした湿疹や、カサカサがひどい場所に向いています。

クリーム特有の「サラッと感」を好んでいたユーザーにとって、軟膏への一本化は少し不便に感じるかもしれませんね。

 

これからどうすればいい?代わりの選択肢

マイザークリームが手に入らなくなることで困っている方には、大きく分けて2つの選択肢があります。

 

① ジェネリック医薬品(ジフルプレドナートクリーム)を使う

マイザークリームの「先発品」はなくなりますが、

中身が同じ「ジフルプレドナートクリーム0.05%」は、他のメーカー(岩城製薬や東和薬品など)から引き続き販売されています。

「マイザー」という名前ではありませんが、有効成分も濃度も同じですので、効果は同等です。

クリームの質感が多少異なる可能性はありますが、最もスムーズな乗り換え先と言えるでしょう。

 

② マイザー軟膏に切り替える

先述の通り、田辺の「マイザー軟膏」は販売が継続されます。

ベタつきが気にならない部位であれば、こちらを使うのが最も確実です。

医師や薬剤師への相談が大切

「薬が変わるのは不安」と感じるのは当然のことです。

特にステロイドは、強さ(ランク)の調整が重要な薬です。
マイザーは「ベリーストロング(かなり強い)」というランクに分類されるため、自己判断で似たような市販薬に変えるのはおすすめできません。

次回の診察時に、医師に「マイザークリームが販売中止になると聞いたのですが、

私の症状に合う代わりのクリームはありますか?」と相談してみてください。

 

まとめ:時代の変化に合わせたお薬選びを

長年、皮膚トラブルの強い味方だったマイザークリーム。

その販売中止は寂しいニュースですが、それは決して「薬としてダメになった」からではありません。

日本の医療体制の変化や、経済的な事情が背景にある、いわば「世代交代」のようなものです。

2026年10月には完全に姿を消す予定ですが、代わりのジェネリック医薬品はしっかり準備されています。

お薬の見た目や名前が変わっても、あなたの肌を守る成分は変わりません。

これを機に、今の自分の肌の状態に最も合った新しいパートナー(お薬)を見つけていく前向きなステップと考えてみてはいかがでしょうか。

いかがでしたか?「マイザークリームの今後」について、少しでもスッキリしていただけたら嬉しいです。

以上、ご参考になれば幸いです。

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