2025年、大腸がん治療の選択肢に強力な「新星」が加わりました。
それが、「フリュザクラカプセル(一般名:フルキンチニブ)」です。
これまで、標準的な治療をやり遂げた後の大腸がん治療は選択肢が少なく、
「次の手」を待ち望む声が多くありました。フリュザクラは、まさにその期待に応えるべく登場した最新の経口抗がん剤です。
今回は、このフリュザクラがどのような仕組みでがんと闘い、どのような点に注意して服用すべきなのか、
2025年現在の最新情報をもとに、詳しく解説していきます。
1. フリュザクラとは? がんの「兵糧攻め」を得意とする新薬
フリュザクラは、「血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害薬」と呼ばれるタイプの分子標的薬です。
一言で言えば、
血管新生をトリプルブロック
がんは増殖するために、周囲から酸素や栄養を奪うための「新しい血管(血管新生)」を勝手に作り出します。
この血管を作る指令を受け取るのが、血管の表面にある「VEGFR(1、2、3)」という3つの受容体です。
フリュザクラはこの3つの受容体すべてを強力にブロックします。
これにより、がんが新しい血管を作るのを妨げ、がんを飢餓状態に追い込んで増殖を抑えるのです。
経口薬(飲み薬)という利便性
点滴ではなくカプセル剤であるため、入院の必要がなく、通院しながら自宅で治療を継続できるのが大きな特徴です。
2025年現在、大腸がんの後半の治療ステージにおいて、患者さんの生活スタイルを維持しながら治療を支える柱となっています。
2. 対象となる方:どのような状況で使われるのか
フリュザクラは、すべての大腸がん患者さんに最初から使われる薬ではありません。
主に以下のような条件を満たす場合に検討されます。
治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
手術での完治が難しく、再発してしまった大腸がんが対象です。
これまでの標準治療を経験していること
フッ化ピリミジン系、オキサリプラチン、イリノテカンといった代表的な抗がん剤や、
抗VEGF抗体薬などの治療を既に行った後に、病気が進行した場合に使用されます。
2025年のガイドラインでも、レゴラフェニブ(スチバーガ)やロンサーフといった既存の薬と並び、重要な選択肢として位置づけられています。
3. 【重要】用法・用量:3週間飲んで1週間休む「サイクル」
フリュザクラの服用には、独自のルールがあります。
これを守ることで、効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えることができます。
基本のスケジュール
1日1回5mg(5mgカプセル1個、または1mgカプセル5個)を服用します。
この合計4週間を「1サイクル」として繰り返します。
服用のタイミング
食事に関係なく服用可能です。
ただし、毎日決まった時間に飲むことで、飲み忘れを防ぎ、血液中の薬の濃度を一定に保つことができます。
「朝食の後」や「寝る前」など、自分の生活リズムに合わせて時間を決めるのがおすすめです。
飲み忘れた時のルール
「あ、飲み忘れた!」と気づいたとき、次の予定まで12時間以上あればすぐに飲んで構いません。
しかし、12時間を切っている場合はその回は抜き、翌日の分から通常通り飲みます。
絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
4. 副作用とその対策:早めのサインを見逃さない
フリュザクラは「血管新生」を抑える薬であるため、特有の副作用が現れることがあります。
しかし、これらは事前に知っておくことで適切に対処可能です。
高血圧(非常に頻度が高い)
血管を広げる物質の働きが抑えられるため、血圧が上がることがよくあります。
対策
自宅での血圧測定を習慣にしましょう。上が140、下が90を超えるようなら、
主治医から降圧薬(血圧を下げる薬)が処方されることがあります。
手足症候群
手のひらや足の裏が赤くなったり、ピリピリ痛んだり、皮がむけたりする症状です。
対策
保湿が最も重要です。
治療開始直後から保湿クリームを塗り、手足に強い刺激や摩擦を与えないよう心がけましょう。
蛋白尿
腎臓に負担がかかり、尿の中にタンパクが出てしまうことがあります。
対策
定期的な尿検査でチェックします。むくみや尿の泡立ちが気になるときは医師に相談してください。
声のかすれ(嗄声)
意外に多いのが、声が出にくくなったり、かすれたりする症状です。
対策
薬を休んでいる間に改善することが多いですが、仕事などで声を使う方は事前に相談しておくと安心です。
重大な副作用への警戒
頻度は低いですが、「消化管穿孔(胃腸に穴が開く)」「出血」「動脈解離」といった深刻な副作用が報告されています。
激しい腹痛、吐血、下血、急激な背中の痛みなどが起きた場合は、直ちに医療機関を受診してください。
5. 2025年現在の供給状況と注意点
2025年に入り、フリュザクラはその高い有効性から非常に多くの患者さんに処方されるようになりました。
そのため、一部で「限定出荷(供給が追いつかない状態)」が発生した時期もあります。
これから新しく治療を始める方は、病院や薬局の在庫状況を確認しながら進める必要があります。
また、肝臓の機能が極端に低下している方や、大きな手術を控えている方は、
傷の治りが悪くなる可能性があるため使用できない場合があります。
まとめ:大腸がん治療の「バトン」をつなぐために
フリュザクラは、これまで多くの治療を乗り越えてきた患者さんにとって、さらに前を向くための新しい武器です。
「血管を狙い撃ちする」という明確な戦略を持ち、飲み薬という手軽さを備えたこの薬は、
がんと共存しながら自分らしい時間を過ごすための強力なサポートとなるでしょう。
「次はどの治療があるのか?」
その不安に寄り添う一手が、このフリュザクラカプセルです。
以上、ご参考になれば幸いです。
