▶抗がん剤【キイトルーダ注とオプジーボ注】の使い分けなどを教えて!

抗腫瘍薬、治療法
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抗がん剤【キイトルーダ注とオプジーボ注】の使い分けなどを教えて!

現在、がん治療の最前線で「光」となっている免疫チェックポイント阻害薬。

その中でも双璧をなすのが「キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)」と「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)」です。

一見すると、どちらも「PD-1」という分子をブロックして免疫のブレーキを外す薬で、中身は同じように見えますよね。

しかし、2025年現在の最新知見では、これら2つの薬には、使い分けの鍵となる明確な「個性」と「戦略の違い」が出てきています。

今回は、この2大巨頭の使い分けについて、専門的な話を噛み砕いて詳しく解説していきます。

 

そもそも、なぜ2つもあるの?

キイトルーダとオプジーボ。

これらはどちらも「抗PD-1抗体」というカテゴリーに属します。

がん細胞が免疫細胞(T細胞)に「攻撃をやめて!」と送るブレーキ信号をブロックすることで、再び免疫を活性化させる仕組み

共通です。

例えるなら、どちらも「高性能なブレーキ解除装置」です。

しかし、開発しているメーカーが異なり(キイトルーダはMSDオプジーボは小野薬品・ブリストルマイヤーズ)、

それぞれが「どのがんに、どのタイミングで、どの薬と組み合わせて使うか」という試験を別々に積み重ねてきた結果、

得意分野が少しずつ分かれてきたのです。

 

使い分けのポイント1:バイオマーカー「PD-L1」への依存度

最新の治療現場で最も大きな違いとなるのが、

PD-L1というタンパク質の発現率(検査数値)をどれだけ重視するか

という点です。

 

キイトルーダ:検査数値を「徹底活用」する戦略

キイトルーダは、治療を始める前に「PD-L1検査」を行い、その数値が高い患者さんにピンポイントで高い効果を狙うのが伝統的なスタイルです。特に

肺がん(非小細胞肺がん)の一次治療では、PD-L1が50%以上であれば、キイトルーダ単剤でも非常に強力な効果を発揮します。

「数値が高い人には、この薬をド直球で使う」という、非常に分かりやすい基準を持っています。

 

オプジーボ:数値に関わらず「幅広く」攻める戦略

一方のオプジーボは、

PD-L1の数値が低くても、他の薬(特にヤーボイなどの別の免疫薬)と組み合わせることで効果を引き出す戦略に長けています。

「数値が低いから免疫療法は諦める」のではなく、

「低いなら別の角度からも免疫を刺激しよう」というアプローチです。

 

使い分けのポイント2:得意ながん種と最新の適応

2025年現在、適応となるがん種は重なっているものが多いですが、片方しか選べない、あるいは片方が優先されるケースがあります。

 

オプジーボがリードする領域

胃がん

以前からオプジーボが強く、化学療法との併用で標準的な選択肢となっています。

食道がん

オプジーボは術後の再発予防(術後補助療法)としても早くから承認され、この分野での存在感が非常に強いです。

悪性胸膜中皮腫

ヤーボイとの併用療法において、オプジーボが第一選択となります。

 

キイトルーダがリードする領域

子宮体がん・子宮頸がん

婦人科がん領域ではキイトルーダのデータが豊富で、化学療法との併用が積極的に行われています。

トリプルネガティブ乳がん

治療が難しいとされるこのタイプに対し、キイトルーダは術前・術後の標準治療として定着しています。

尿路上皮がん(膀胱がんなど)

術後の再発予防や、特定の条件下での一次治療でキイトルーダが優先されるケースが多いです。

 

使い分けのポイント3:投与スケジュールと利便性

患者さんにとって非常に重要なのが「通院頻度」です。ここにも大きな違いがあります。

キイトルーダ

「3週間に1回(200mg)」または「6週間に1回(400mg)」という、比較的ゆったりしたスケジュールが選べます。

6週間に1回となれば、仕事や私生活との両立がぐっと楽になります。

オプジーボ

「2週間に1回(240mg)」または「4週間に1回(480mg)」という設定が一般的です。

ただし、オプジーボの最新トピックとして注目なのが「皮下注射製剤」の登場です。

これまでは30分から60分かけて点滴していましたが、皮下注射なら数分で終わります。

2026年現在、この利便性の向上により、オプジーボを選ぶメリットが再び高まっています。

 

使い分けのポイント4:併用療法のバリエーション

最近のトレンドは、単剤ではなく「他の薬と一緒に使う」ことです。

オプジーボ+ヤーボイ(免疫×免疫)

これはオプジーボの得意技です。

免疫のブレーキを2箇所で外すことで、より強力な効果を狙います。

腎細胞がんや一部の大腸がん、肺がんでよく使われます。

キイトルーダ+レンビマ(免疫×分子標的薬)

こちらはキイトルーダが得意とする組み合わせです。

血管新生を阻害する薬と組むことで、腎細胞がん子宮体がんにおいて高い治療成績を収めています。

 

結局、どう選ばれているの?

主治医がどちらを選ぶかを決める際、頭の中ではこのようなシミュレーションが行われています。

がんの種類は何か?

胃がんならオプジーボ、乳がんならキイトルーダなど

PD-L1の数値は?

高ければキイトルーダ単剤、低ければ併用療法を検討

仕事や通院の状況は?

通院回数を減らしたいならキイトルーダ、短時間で済ませたいならオプジーボの皮下注

持病はあるか?

(過去のデータから、副作用の出やすさにわずかな差があると考え、患者さんの状態に合わせる)

 

まとめ:最新の免疫療法との向き合い方

キイトルーダとオプジーボ、これらはもはや「どっちが上か」という議論ではなく、

「どちらがその患者さんの今の状況にフィットするか」

というオーダーメイドの選択肢になっています。

2025年、がん治療はさらに進化し、バイオマーカーによる精密な診断と、

皮下注製剤のような生活の質(QOL)を重視した投与方法が普及しています。

もし、ご自身やご家族がどちらかの投与を提案されたら、

ぜひ「なぜ、私にはこちらの薬が選ばれたのですか?」と聞いてみてください。

きっと、がんの性質やあなたの生活スタイルを考え抜いた上での「納得の理由」があるはずです。

医療は日進月歩ですが、この2つの薬が多くの患者さんの未来を繋いでいることは間違いありません。

以上、ご参考になれば幸いです。

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