今日は、アルツハイマー型認知症の治療に、まさに革命とも言える新しい波が到来したという、非常にホットな話題をお届けします。
それは、日本初の持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤、具体的には「リバルエンLAパッチ」(東和薬品)の登場です!
これまでのリバスチグミンのパッチ剤(貼付剤)は、毎日1回貼り替える「1日1回製剤」が主流でした。
しかし、この新しい製剤は、なんと週にたった2回の貼付で効果を持続させるという、画期的な特性を持っています。
これは、患者さんご自身や、日々サポートされているご家族・介護者の方々にとって、計り知れないメリットをもたらす可能性を秘めています。
なぜ「週2回」がこんなにすごいのか?〜アドヒアランス向上への期待〜
アルツハイマー型認知症の治療は、薬を毎日、決められた時間に、きちんと使い続けることが非常に重要です。
この「薬を使い続けること」を医療用語で「アドヒアランス」と言いますが、
認知症の症状が進むと、どうしても飲み忘れや貼り忘れが増えてしまいがちでした。
特に、毎日行う貼付(貼り替え)作業は、介護者の負担となることも少なくありません。
例えば、「昨日貼ったかどうか」「何時に貼ればいいか」「毎日貼るのは大変」といった日々の管理は、精神的にも時間的にも負担がかかります。
この「リバルエンLAパッチ」は、貼付頻度を週2回に大幅に削減したことで、この日々の管理負担を劇的に軽減することが期待されています。
スケジュール管理の容易さ:
「月曜と木曜に貼る」など、固定した曜日でのスケジュール管理が可能になり、分かりやすく、忘れにくくなります。
介護者の負担軽減
貼り替えの回数が減ることで、介護者の皆さんの心理的・時間的な負担が軽くなり、より質の高いケアに時間を割けるようになります。
貼り忘れリスクの低減
頻度が少ない分、毎日貼り替える製剤に比べて、貼り忘れのリスクが減り、安定した薬物療法が続けやすくなります。
「持続放出性」のメカニズムと効果
この製剤のキーとなる技術が「持続放出性」です。
有効成分であるリバスチグミンは、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する
酵素(アセチルコリンエステラーゼとブチリルコリンエステラーゼ)の働きを阻害することで、
脳内のアセチルコリン量を増やし、認知機能を改善・維持する作用を持つ薬剤です。
「リバルエンLAパッチ」は、独自の製剤技術により、リバスチグミンを皮膚を通して吸収させた後、
数日間(最大4日間)にわたって、安定した血中濃度を保ちながら有効成分を放出し続けることが可能です。
国内で行われた臨床試験では、この
つまり、貼り替え回数を減らしても、しっかりとした治療効果が維持できることが科学的に裏付けられているのです。
効能・効果
従来の製剤と同様に「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」となっています。
知っておきたい注意点と副作用
どんな薬にも言えることですが、新しい製剤を使用する上でも、いくつかの注意点や副作用について理解しておく必要があります。
リバスチグミンの主な副作用は、その作用機序(コリン作動性神経の賦活)に関連して、
また、パッチ剤特有の副作用として、
も起こり得ます。
初期の増量
治療開始時は、リバスチグミンとして1回25.92mgから開始し、
という、段階的な投与が推奨されています。
これは、副作用の発現を抑えつつ、適切な効果を得るための重要なステップです。
重大な副作用
まれではありますが、徐脈、心筋梗塞、QT延長などの心臓の異常や、痙攣発作、胃潰瘍・胃腸出血、幻覚、せん妄、脱水といった重大な副作用も報告されています。
異常を感じた場合は、速やかに医師や薬剤師に相談することが極めて重要です。
貼付部位
貼る場所は、
のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、
ことが、皮膚トラブルを防ぐ上で大切です。
まとめ:治療の選択肢が広がる未来へ
「リバルエンLAパッチ」は、アルツハイマー病治療におけるQOL(生活の質)の向上とアドヒアランスの改善という、
二つの大きな目標達成に貢献する革新的な製品です。
特に、
これは、認知症を取り巻く多くの方々にとって、希望の光となるニュースに違いありません。
この新しい治療薬の登場により、患者さん一人ひとりの生活スタイルや介護環境に合わせた、
より柔軟で質の高い治療の選択肢が広がっていくことが期待されます。
以上、ご参考になれば幸いです。
