「認知症になりやすい性格がある」と聞くと、少しドキッとしますよね。
最新の研究では、生まれ持った性格や、長年の習慣で培われた思考パターンが、認知症のリスクと深く関わっていることが示唆されています。
性格そのものが病気を引き起こすわけではありませんが、特定の性格傾向が「認知症を予防する行動」を妨げたり、「脳にダメージを与えるストレス」をため込みやすくしたりする要因になる、というイメージです。
今回は、心理学で用いられる「ビッグ・ファイブ」という性格モデルの研究結果も交えながら、
認知症になりやすいと考えられている具体的な性格傾向を、わかりやすくご紹介します。
脳を疲れさせる「神経症傾向(ネガティブ傾向)」が高い人
最新の研究で最も注目されているのが、この「神経症傾向(Neuroticism)」が高い性格です。
1. 心配性・神経質・些細なことを気にしすぎる
「あれで大丈夫だったかな?」「もしかして、嫌われているかも…」と、常に不安や心配が頭から離れない人は注意が必要です。
慢性的なストレスの蓄積
神経質な人は、些細なことでもストレスを感じやすくなります。
研究では、ストレスを感じると分泌されるホルモンであるコルチゾールの慢性的な高値が、記憶を司る脳の部位(海馬)に悪影響を与え、認知機能の低下を招く可能性が指摘されています。
また、心配性な人はそうでない人と比べて認知症のリスクが約2倍という研究結果も出ており、
不安感を抱きやすいことがストレスとなって脳を弱らせると考えられています。
2. 怒りっぽい・批判的・イライラしやすい
すぐにカッとなったり、他者に対して批判的な言葉が多くなったりする性格も、認知症のリスクを高める可能性があります。
社会的孤立を招く
怒りっぽい人は、周囲と円滑なコミュニケーションを取ることが難しくなり、人から避けられがちです。
結果として社会的に孤立し、他者との関わりが薄くなります。
会話や交流といった社会的な刺激は、脳を活性化させるために非常に重要です。
孤立した環境は、脳に適度な刺激が与えられず、認知症の土台を作りやすいと考えられています。
ある論文では、批判的な言動が多い人は、認知症のリスクが約3倍に高まるという結果も報告されています。
3. 抑うつ的・自己肯定感が低い
気分が落ち込みやすい、ネガティブ思考が強いといった抑うつ的な傾向もリスクの一つです。
脳の活動低下と生活習慣の悪化
抑うつ状態は、脳の働きを鈍らせ、認知機能の低下を招きます。
また、意欲の低下から、外出や運動を控えるようになり、家の中に引きこもりがちになります。
前述の通り、身体活動の低下や脳への刺激不足は、認知症リスクを高める主要な要因です。
孤立を招きやすい「外向性」が低い人
「外向性(Extraversion)」は、社交性や活動的であるかどうかを示す特性です。
この外向性が低い、つまり内向的な傾向が強い人も、認知症リスクとの関連が示唆されています。
1. 人付き合いが苦手・一人が好きすぎる
一人の時間を好み、人との関わりをあまり持たない性格傾向です。
脳への刺激不足
人付き合いが少ないと、自然と会話や新しい体験といった脳への刺激が減少します。
脳は使わないと衰えるため、この刺激不足が認知機能の低下につながりやすくなります。
研究では「持続的に孤独を感じる人は、そうでない人と比べて認知症を発症するリスクが1.9倍も高い」という結果も出ており、
孤独感や社会的なつながりの希薄さが、大きなリスク要因であることがわかります。
2. すべて一人でこなそうとする・協調性がない
周囲を頼らず、何でも自分で解決しようとする傾向も、結果的に人との交流を減らすことになります。
コミュニケーションの希薄化
自己完結を好む人は、「周りに迷惑をかけたくない」「弱みを見せたくない」という思いから、助けを求めることを避けます。
これにより、他者とのコミュニケーションが希薄になり、結果的に脳への刺激が不足しがちになります。
協調性が低く、集団行動が苦手な人も同様に、人との関わりが減ることで認知症になりやすい環境に陥りやすくなります。
予防行動を継続しにくい「誠実性」が低い人
「誠実性(Conscientiousness)」は、責任感、勤勉さ、計画性、自制心などを示す特性です。
この誠実性が低いことも、間接的に認知症のリスクを高めます。
1. 整理整頓が苦手・計画性がない
直感や思いつきで行動し、スケジュールに沿って物事を進めるのが苦手な傾向です。
健康的な習慣の困難さ
誠実性が低い人は、目標や決め事を維持するのが難しい傾向があります。
認知症予防に重要とされる「定期的な運動習慣」「バランスの取れた食生活」「禁煙」といった健康的な習慣は、継続的な努力を必要とします。
誠実性が低いと、こうした習慣をコツコツと続けることが困難になり、
結果として認知症の身体的なリスク要因が高まってしまうと考えられています。
性格は変えられる!今日からできる予防のヒント
これらの性格傾向は、あくまで統計的な関連性を示すものであり、
「こういう性格だから必ず認知症になる」というわけではありません。
しかし、もし心当たりのある傾向があれば、それは「ストレスを溜めやすい生活」「脳への刺激が少ない生活」を送っているサインかもしれません。
性格は、生まれつきのものだけでなく、日々の意識や行動で少しずつ変えることができるものです。
最新の研究が示唆するのは、性格そのものよりも、その性格がもたらす「生活様式」を改善することの重要性です。
リスクを減らすために意識したいこと
ストレス管理を学ぶ
心配性な人は、自分の感情を紙に書き出す「エクスプレッシブ・ライティング」や、
リラックスできる趣味を見つけるなど、ストレスを「溜めない・手放す」方法を意識的に探しましょう。
社会的なつながりを維持する
内向的な人でも、必ずしも「大人数でワイワイ」する必要はありません。
気の合う少数の友人と定期的に会う、地域の活動に参加してみるなど、
質が高く、脳を刺激する交流を持つことが大切です。
「責任感」と「自制心」を意識する
「毎日15分散歩する」「野菜を多く食べる」など、小さな目標を立てて、
自制心を持ってコツコツと継続する習慣をつけることが、脳の健康を守る最も確かな道と言えるでしょう。
認知症予防は、生活習慣病予防と似ています。
自分の性格の傾向を知り、脳と心に優しい生活を送るよう、今日から少しずつ意識を変えていきましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
