▶リアルダ錠徹底ガイド【潰瘍性大腸炎】治療の頼れる味方

薬剤師の皆様へ
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リアルダ錠徹底ガイド【潰瘍性大腸炎】治療の頼れる味方

今回は、潰瘍性大腸炎(UC)の治療薬として注目されている「リアルダ錠600mg、1200mg(一般名:メサラジン)」について、

その魅力と正しい使い方を深掘りしていきます。

UCの患者さんや、そのご家族にとって、日々の治療の理解を深める一助となれば幸いです。

 

リアルダ錠の最大の特徴:1日1回の効果的なデリバリー

リアルダ錠の主成分はメサラジンという抗炎症作用を持つ成分です。

メサラジンは、潰瘍性大腸炎(UC)の炎症が起きている大腸の粘膜に直接作用し、炎症を抑えることで症状の改善を目指します。

この薬の最大の特徴は、独自の放出制御技術(MMXテクノロジー)を採用している点にあります。

1日1回でOK

従来のメサラジン製剤の多くは、効果を保つために1日複数回の服用が必要でした。

しかし、リアルダカプセルは、この特殊な技術により、

薬の成分が服用後、胃を素通りして大腸全体にわたり、ゆっくりと均一に放出されるように設計されています。

このおかげで、1日1回の服用で済むようになり、患者さんの飲み忘れの心配が減り、

日々の負担が大きく軽減されました。これは治療を長く続ける上で、非常に重要なポイントですよね。

大腸全体をカバー

成分が大腸全体に届くため、病変が広範囲にわたる患者さんにも効果が期待されます。

 

用法用量:寛解期と活動期で異なる用量に注意

リアルダカプセルは、病状の段階に応じて服用量が異なります。

医師の指示に必ず従うことが大前提ですが、一般的な用法用量は以下の通りです。

 

成人の方の用量

寛解期(症状が落ち着いている時期)

通常、メサラジンとして1日1回 2,400mgを食後に服用します。

活動期(症状が悪化している時期)

通常、メサラジンとして1日1回 4,800mgを食後に服用します。

ただし、活動期の用量(4,800mg)を投与する場合は、投与開始から8週間を目安に有効性を評価し、漫然と継続しないことが注意喚起されています。

病状が改善したら、速やかに寛解期用量へ減量することが一般的です。

 

小児の方の用量(最新の適応追加情報を含む)

リアルダカプセルは、近年、体重23kg超の小児に対しても「用法及び用量」が追加され、使用できる範囲が広がりました。

体重23kg超の小児

寛解期:1日1回 40mg/kg(上限 2,400mg)を食後に服用します。

活動期:1日1回 80mg/kg(上限 4,800mg)を食後に服用しますが、患者の状態により適宜減量されます。

小児の場合、体重に応じてさらに細かく目安量が設定されています(例:体重23kg超35kg以下は寛解期1,200mg、活動期2,400mgなど)。

 

服用時の重要な注意点

このお薬は、特殊な放出制御製剤です。かまずに、そのまま水またはぬるま湯で服用してください。

噛んでしまうと、薬の成分が意図しない場所で放出されてしまい、効果が弱くなったり、副作用が出やすくなったりする可能性があります。

もし飲み忘れた場合は、気がついた時にできるだけ早く1回分を飲んでください。

ただし、次の通常飲む時間が近い場合は、1回分を飛ばし、2回分を一度に飲むことは避けてください。

 

使用上の注意点:治療を安全に進めるために

リアルダ錠は非常に有用な薬ですが、安全に治療を進めるために、いくつか注意すべき点があります。

 

投与できない方(禁忌)

  • リアルダ錠の成分、またはサリチル酸塩類(アスピリンなど)に対して、過去に過敏症(アレルギー)を起こしたことがある方。
  • 重篤な腎障害がある方。

 

特に注意が必要な副作用(重大な副作用)

メサラジンを含む製剤で、以下の重大な副作用が報告されています。

これらは稀ですが、初期症状に気づくことが非常に重要です。

腎機能障害(間質性腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全)

尿量減少、むくみ、全身倦怠感などに注意が必要です。投与中は定期的な腎機能検査が不可欠です。

血液障害(再生不良性貧血、無顆粒球症など)

発熱、のどの痛み、倦怠感などに注意。

心臓・肺の炎症(心膜炎、心筋炎、間質性肺疾患など)

胸の痛み、動悸、息切れ、咳、発熱などが現れたら、すぐに医師に相談してください。

肝機能障害、肝炎、黄疸

食欲不振、全身倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる症状。

過敏症(薬剤性過敏症症候群など)

発疹、発熱に始まり、肝機能障害やリンパ節の腫れなどを伴うことがあります。

 膵炎

激しい腹痛や背中の痛み。

抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(最新の追記)

発熱、倦怠感、関節痛、筋痛などの全身症状や、皮膚、肺、腎臓などの臓器症状が現れることがあります。

 

併用薬の注意

メサラジンの坐剤・注腸剤との併用

リアルダを併用することでメサラジンの総投与量が増加します。

特に腎機能や肝機能が低下している方、高齢者では、副作用のリスクが高まるため、医師は慎重に用量を調整します。

ワルファリンなど、他の薬剤との飲み合わせについても、必ず医師や薬剤師に伝えてください。

 

その他、日常的な注意点

便中に錠剤が認められることがあります。

これは、薬の成分が放出された後の錠剤の殻であり、薬が効いている証拠でもありますので、心配いりません。

尿が次亜塩素酸塩を含有する漂白剤(家庭用漂白剤など)と接触すると、変色することが報告されています。

 

冷所保管

リアルダ錠が冷所保存なのは、高温になると溶出性が高まるためです。

高温で保管すると、薬の品質が変わりやすくなるため、品質を保つために冷蔵庫(15℃以下)での保管が推奨されています。

 

おわりに

リアルダカプセルは、潰瘍性大腸炎の治療において、1日1回という利便性の高さから、

患者さんのQOL(生活の質)向上に大きく貢献する薬剤です。

しかし、どんな薬にも言えることですが、その効果を最大限に引き出し、安全に治療を続けるためには、

医師の指示を厳守し、体調の変化があった際にはすぐに医療従事者に相談することが何よりも大切です。

日々の服用を頑張りながら、主治医や薬剤師と二人三脚で、潰瘍性大腸炎の寛解維持を目指していきましょう!

ご自身の体調や薬についての疑問は、かかりつけの医師または薬剤師にご確認くださいね。

以上、ご参考になれば幸いです。

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