▶5,000円台の奇跡!プリアンプBEHRINGER ADI21でチェロの音色を激変させる

チェロ
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5,000円台の奇跡!プリアンプBEHRINGER ADI21でチェロの音色を激変させる

前回、安価なピックアップを「化けさせる」にはプリアンプが必須とお話ししましたが、

その中でも抜群のコストパフォーマンスを誇るのが、BEHRINGER(ベリンガー)のV-TONE ACOUSTIC ADI21です。

実売価格が驚きの5,000円〜8,000円程度でありながら、

DI機能と3バンドEQを搭載し、安価なチェロ用ピックアップのサウンドを劇的に改善する能力を持っています。

今回は、このADI21をチェロで使いこなすための具体的な接続方法、基本操作、ハウリング対策、そして応用テクニックまで詳しく解説します。

 

ADI21とチェロピックアップの「つなぎ方」

BEHRINGER ADI21は、チェロのピックアップからの信号をPAシステム(ミキサー)に送るまでの「橋渡し役」として機能します。

 

1. 基本的な接続順序

チェロ用のピエゾピックアップ(例:Fishman C-100など)を使う場合、基本的な接続順序は以下の通りです。

チェロピックアップ

  • → ADI21のINPUTジャック
  • → ADI21のOUTPUTジャック(またはXLR出力)
  • → PAミキサー、またはアンプ

 

2. OUTPUTの使い分け(ライブでの重要ポイント)

ADI21には、ライブで非常に重要な2種類の出力(OUTPUT)があります。

① UNBALANCED OUT (1/4インチ標準フォンジャック)

用途

自宅練習用のアンプや、ステージ上のモニターアンプに接続する場合。

または、エフェクターなどをADI21の後ろにつなぐ場合に使用します。

② BALANCED DI OUT (XLRキャノンジャック)

用途

ライブハウスやホールのPAミキサーに直接信号を送る場合に使用します。

このXLR出力は、信号がノイズに強く、PAエンジニアが最も扱いやすい形式です。ライブでは原則こちらを使いましょう。

 

3. 電源に関する注意点

ADI21は、9V電池(006P型)またはACアダプター(別売)で駆動します。

電池駆動

INPUTジャックにケーブルを差し込むと電源がONになります。使用しない時は必ずケーブルを抜き、電池の消耗を防ぎましょう。

ファンタム電源

ADI21は、XLRケーブルでPAミキサーと接続されている場合、PA側から送られるファンタム電源(+48V)では駆動しません(電源が入らない)。

必ず電池かACアダプターで駆動させる必要があります。

 

ADI21の基本操作とチェロのための設定

ADI21のツマミは多そうに見えますが、チェロで使う際に重要なのは以下の機能です。

 

1. LEVELとGAIN

GAIN

ピックアップからの入力信号の音量を調整します。

安価なピエゾピックアップは出力が低いことが多いので、まずこのGAINを調整し、

LEDがたまに点灯する程度(赤く点灯しっぱなしはNG)まで上げます。

LEVEL

全体の出力音量を調整します。

こちらはPAエンジニアと相談しながら調整することが多いですが、

基本的にはPAミキサー側でコントロールできるため、少し余裕を持たせたレベルにしておきます。

 

2. V-TONEモデリング機能

ADI21の核となるのが、この「V-TONE」モデリングです。

これは、高級なアコースティックアンプのサウンド特性をシミュレートする機能です。

MODEスイッチ

“TUBE”(真空管)モデリングと”FLAT”(フラット)を切り替えます。

チェロの場合、”TUBE”モードがおすすめです。
このモードにすることで、ピエゾ特有の硬質な音に温かみとサスティンが加わり、チェロらしい深みのあるサウンドに近づきやすくなります。

フットスイッチ

このフットスイッチで、V-TONEモデリングとEQをON/OFFできます。

演奏中は常にONの状態にして、プリアンプの恩恵を受け続けましょう。

 

3. 3バンドEQ(イコライザー)の活用

安価なピエゾサウンドを補正する上で、このEQが最も重要です。


①ツマミ ②周波数帯域 ③チェロでの役割 ④基本設定(目安)


BASS (低音) ②80Hz前後 胴鳴り、音の太さ、温かみを加える。12時方向〜1時方向へブースト 

MID (中音) ②500Hz前後 ③ピエゾ特有の硬さや、不快な摩擦音の出やすい帯域。11時方向へカット 

TREBLE (高音) ②8kHz前後 ③弦を弾く音の輪郭、抜け感を調整。12時方向〜11時方向へわずかにカット 


【音作りの手順】

まず、全てのEQツマミを12時方向(フラット)にします。

MIDを11時方向に少しカットして、ピエゾ特有の「カチカチ」した硬さを和らげます。

BASSを1時方向にブーストして、チェロのC線やG線が持つべき「太さ」を補います。

TREBLEは、好みで調整しますが、

安価なピックアップはノイズが出やすいため、少しカット気味から試す

のがおすすめです。

 

ハウリングを防止するための設定と工夫

安価なピックアップとプリアンプの組み合わせは、音を大きく出すとハウリングしやすい傾向があります。

ADI21の機能と外部の工夫で、これを最小限に抑えましょう。

 

1. ADI21のPADスイッチ活用

PADスイッチ

入力信号を-20dBカットする機能です。

使い方

演奏中、音量を上げるとすぐにハウリングが起きる場合や、ピックアップの出力が非常に高い場合に

PADをONにします。

これにより、GAINの調整幅が広がり、音の歪みやハウリングを抑えられる場合があります。

 

2. GND LIFTスイッチの活用

GND LIFT

接地(グランド)を切断する機能です。

使い方

PA接続時に「ブーン」というハムノイズが聞こえる場合、GND LIFTをONにすることで、ノイズが消えることがあります。

ハウリング対策というよりは、ノイズ対策として非常に有効です。

 

3. 外部の工夫(演奏者側での対策)

ミッドレンジのEQカット

ハウリングの多くは中音域で発生します。

前述の通り、MIDを積極的にカットすることで、ハウリングを大きく軽減できます。

モニタースピーカーの配置

演奏しているチェロのF字孔やピックアップに、モニタースピーカーからの音が直接当たらないように配置を工夫してもらいましょう。

 

ADI21の応用テクニック

ADI21は非常にシンプルですが、工夫次第でさらに活用できます。

 

1. エフェクターの活用

ADI21のXLR出力(PA行き)とは別に、UNBALANCED OUTから他のエフェクター(例:リバーブやディレイ)に接続し、

音の空間的な広がりを加えることができます。

リバーブを軽くかけるだけで、ピエゾのドライな音に「ホールで演奏しているような空気感」を演出できます。

 

2. チューナー/フットスイッチとしての活用

ADI21にはミュート機能付きのチューナーは搭載されていませんが、

フットスイッチをバイパス状態(LED消灯)にすることで、ADI21のエフェクト(EQ/モデリング)を無効にできます。

これは、曲間の短い休憩で意図的に音をオフにするなどの、擬似的なミュートスイッチとしても利用可能です。

(ただし、完全に信号が途切れるわけではありません)

 

まとめ:ADI21は最強のコストパフォーマー

BEHRINGER ADI21は、価格からは信じられないほど多機能で、

特に安価なチェロ用ピエゾピックアップの音を太く、温かく補正する能力に優れています。

安価なピックアップとADI21を組み合わせ、そしてEQ設定を工夫することで、

ライブ演奏に必要な実用性と、チェロらしい深みを両立させることが可能です。

以上、ご参考になれば幸いです。

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