こんにちは、チェロを愛する皆さん!
ライブやレコーディングで、アコースティックなチェロの素晴らしい響きをどうにかして
「そのまま」電気的に増幅したい…そう悩んだことはありませんか?
その解決策として最も手軽で広く使われているのが、ピエゾタイプのピックアップです。
しかし、ただ取り付ければ良いというわけではありません。
この小さな振動センサーをチェロのどこに配置するかによって、出てくる音色、ハウリング耐性、そして演奏中のストレスが劇的に変わってきます。
今回は、ピエゾピックアップの特性と、チェロにベストな取り付け位置について、最新の知見を交えながら詳しく掘り下げていきましょう。
ピエゾピックアップとは?その特性を理解する
まず、ピエゾピックアップの基本を押さえましょう。
これは「圧電効果」を利用したセンサーで、弦の振動や楽器本体の振動による「圧力」や「歪み」を直接電気信号に変換します。
メリット
取り付けが比較的簡単
両面テープや粘土で貼るだけのタイプが多く、楽器に大きな加工が不要なものが多いです。
ハウリングに強い
マイクのように空気振動を拾うわけではないため、大音量の環境でもハウリング(フィードバック)を起こしにくい特性があります。
高音域のクリアさ
振動をダイレクトに拾うため、アタック感や高音域がクリアに出やすい傾向があります。
デメリット
音色の「硬さ」
振動を拾いすぎると、高音域が強調されすぎたり、アタック音が鋭くなりすぎたりして、「硬い」「金属的」な音色になりがちです。
取り付け位置が命
わずかな位置のズレが、音色の大きな変化につながります。
この「取り付け位置が命」という特性こそが、今回掘り下げるべき最大のテーマです。
最新の製品でも、その基本原理は変わらないため、
音響的な特性を理解することが最高の音色を得るための近道となります。
🥇 【最新知見に基づく】チェロ用ピエゾピックアップの「鉄板」取付位置
チェロの音響構造を考えると、ピエゾピックアップを取り付けるべき場所は、
1. 駒(ブリッジ)への取り付け:バランス重視の王道
駒は弦の振動を直接ボディに伝える最重要パーツです。
ここにピエゾを取り付けるのが最も一般的かつ確実です。
A. 駒の先端(弦に近い部分)
特性
弦の振動が非常にダイレクトに伝わるため、
適している用途
ロックやポップスなど、バンドアンサンブルの中でチェロの存在感を際立たせたい場合。
デメリット
音色が硬くなりやすく、チェロ本来の温かみが薄れる可能性があります。ハウリング耐性は高いです。
B. 駒の脚(ボディに近い部分)
特性
駒の振動だけでなく、それを介してボディに伝わる「共鳴振動」の要素も拾い始めます。
先端と比べて音色は柔らかくなり、中低音域が豊かになります。
適している用途
クラシックやアコースティック編成で、チェロの深みのある響きを活かしつつ、しっかりとした音量を確保したい場合。
ベストポジション
ただし、この位置は少し音がこもりがちになるというトレードオフもあります。
プロの裏技
駒の脚の「内側(魂柱側)」に挟み込むタイプ(フィッシュマンのC-100など)は、
外部から目立たず、ボディとの共鳴をうまく取り込めるため、近年プロの間でも人気が高いです。
2. 表板(ボディ)への取り付け:自然な響きを追求
駒ではなく、表板の特定のエリアに直接貼り付けるタイプのコンタクトマイク(ピエゾ)も強力な選択肢です。
C. 駒の下、テールピース寄り
特性
ボディ全体の響きを最もよく拾えるエリアの一つです。
駒に付けるよりも「アコースティック感」や「胴鳴り感」が豊かに出ます。
音の硬さが和らぎ、丸みのあるサウンドになりやすいです。
適している用途
ソロ演奏や、繊細なニュアンスを重視するレコーディング。
デメリット
駒上への取り付けよりもハウリングに対する耐性が低くなる傾向があります。
また、低音域を拾いすぎる場合があるため、EQ(イコライザー)での調整が必要になることがあります。
D. F字孔の近く(あまり推奨されない)
F字孔は空気の出入り口であり、特定の周波数帯域が強調されやすいため、
ピエゾピックアップの取り付け位置としては一般的に推奨されません。
ハウリングのリスクも高まります。
取り付け位置を決めるための「最新」アプローチ
ピエゾピックアップの性能が向上している現在、最高の音色を見つけるには、
以下の手順で「微調整」を行うことが最も重要です。
仮固定からスタート
まずは「駒の脚(A線側)」に粘着力の弱い両面テープや、製品付属のパテで仮固定します。
これが最もバランスの取れた基準点となります。
試奏と録音
アンプに繋ぎ、普段の演奏方法で音を出します。できれば録音し、客観的に音色をチェックしましょう。
1mm単位の移動
音色が硬すぎる(高音が強すぎる)と感じたら、ピックアップを駒の先端から脚の方向へ、つまりボディに近づける方向に1mmずつ移動させます。
逆に、音がこもりすぎていると感じたら、先端の方向へ移動させます。
表板のトライ
駒での調整に満足できない場合は、表板の「駒の下、テールピース寄り」のエリアで同様の微調整を試します。
この際、ケーブルがボディに当たってノイズを拾わないよう、必ずテープなどで固定してください。
結論とネクストステップ
チェロのピエゾピックアップのベストポジションは、最新の機材を持ってしてもやはり
この位置が、ピエゾのクリアさとチェロの胴鳴りのバランスを最もよく取れる「スイートスポット」とされています。
大切なのは、「ここに貼れば終わり」ではなく、「自分のチェロ、自分のピックアップ、自分のアンプ」という独自の組み合わせの中で、1mm単位で調整を繰り返すことです。
以上、ご参考になれば幸いです。
