眼科で処方される「ベストロン点眼液0.5%」。
使う直前に粉と液を混ぜる、ちょっと特殊な点眼薬ですよね。
薬剤師さんから
と言われて、
「えっ、まだたっぷり残っているのにもったいない……」「どうしてそんなに短いの?」と疑問に思ったことはありませんか?
今回は、ベストロン点眼液がなぜ「1週間」という短い期限なのか、
その裏側にある化学的な理由や最新の知見を、わかりやすく解説します!
混ぜたらカウントダウン開始!ベストロンの不思議
こんにちは!
健康とくすりの知識をお届けするブログです。
風邪の後の結膜炎や、ものもらい、手術前の感染予防などでよく出されるベストロン点眼液。
この薬の最大の特徴は、
という点です。
これを専門用語で「時事調製(じじちょうせい)」と呼びます。
なぜ最初から混ざった状態で売っていないのか、そしてなぜ混ぜるとたった1週間しか持たないのか。
その理由は、
理由1:水に浸かると「自滅」が始まる(安定性の問題)
ベストロンの主成分であるセフメノキシム塩酸塩は、セフェム系と呼ばれる抗生物質の一種です。
この成分、
化学的な「加水分解」
粉末の状態であれば、この成分は非常に安定していて、長期間(製造から約3年など)効果を保つことができます。
しかし、
イメージとしては、おせんべい(粉末)は長持ちするけれど、お茶に浸したおせんべい(溶解後)はすぐにふやけて腐ってしまうのに似ています。
1週間の根拠
製薬会社の試験データによると、混ぜた後の液を冷所(冷蔵庫)で保管した場合、
これ以上過ぎると、菌をやっつけるためのパワー(力価)が落ちてしまい、
せっかく点眼しても病気が治りにくくなってしまうのです。
理由2:見た目が「毒々しく」変化する(着色の問題)
実は、1週間を過ぎても成分がゼロになるわけではありません。
しかし、
混ぜた直後
無色〜ごく薄い黄色
数日後
黄色が濃くなる
さらに放置
オレンジ色〜褐色(茶色)
これは成分が分解される過程で、着色物質が生まれるためです。
最新の知見やメーカーの資料を深掘りすると、実は「茶色くなっても、すぐに毒になるわけではない」という報告もあります。
しかし、点眼薬は「目」という非常にデリケートな粘膜に使うもの。
安全性を最優先して「変色する前に使い切る、あるいは捨てる」という基準が設けられています。
理由3:防腐剤の効果にも限界がある
点眼薬には通常、細菌が繁殖しないように防腐剤が入っています。
しかし、ベストロンのように「抗生物質」そのものを溶かして使うタイプは、
がゼロではありません。
正しく使うための3つの鉄則
せっかくの薬も、使い方が悪いと効果が半減してしまいます。
ベストロンを使う際は、以下の3点を必ず守りましょう。
必ず「冷蔵庫(冷所)」で保管!
温度が高いと、加水分解のスピードが劇的に上がります。
夏場の室内などに放置すると、1週間経たずともダメになってしまうことがあります。
光を避ける!
ベストロンは光にも弱いです。
付属の遮光袋(オレンジや茶色の袋)に入れて保管しましょう。
1週間経ったら、迷わずサヨナラ!
「まだ残っているから」「もったいないから」と、2週間前の薬を使うのはNGです。
効果がないどころか、変質した成分で目を痛める可能性があります。
まとめ:なぜ1週間なの?
結論を言えば、
「混ぜてから1週間」というルールは、皆さんの大切な目を守るための安全装置なんですね。
もし、1週間経っても症状が治らない場合は、
以上、ご参考になれば幸いです。
参考資料・URL
ベストロン点眼液0.5% 添付文書(PMDA)
セフメノキシム塩酸塩 インタビューフォーム(千寿製薬)
くすりの適正使用協議会:くすりのしおり(ベストロン点眼液)
