▶抗うつ薬【トリンテックス錠】の特徴、用法用量、副作用などを教えて!

心療内科
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抗うつ薬【トリンテックス錠】の特徴、用法用量、副作用などを教えて!

こんにちは。メンタルヘルスや日々の健康を支えるお薬について、最新の知見をもとに分かりやすく解説する「こころの健康ブログ」へようこそ。

今回は、2019年に登場して以来、その独自の作用メカニズムから注目を集めている抗うつ薬、

トリンテリックス錠(一般名:ボルチオキセチン)」について詳しくお話しします。

「これまでの抗うつ薬と何が違うの?」「副作用が心配……」という方に向けて、

2026年現在の最新情報を踏まえ、その特徴や使い方、注意点をプロの視点で紐解いていきましょう。

 

1. トリンテリックス錠とは?  従来の薬との「決定的な違い」

トリンテリックスは、分類上「セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節薬(S-RIMA)」と呼ばれます。

多くの人が耳にしたことがある「SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)」の進化系とも言えるお薬ですが、

最大の特徴は、単にセロトニンの量を増やすだけでなく、セロトニン受容体の「スイッチ」を直接調整する多面的なアプローチにあります。

脳内のネットワークを再構築する

このお薬は、セロトニンだけでなく、

意欲に関わる「ドパミン」や、覚醒や集中に関わる「ノルアドレナリン」「アセチルコリン」「ヒスタミンといった複数の神経伝達物質の遊離を促すことがわかっています。

これにより、単に「落ち込みを治す」だけでなく、

うつ病に伴う「認知機能の改善(思考力の低下や集中力の欠如の解消)」にも強みを発揮するのが、

トリンテリックスならではの大きなメリットです。

 

2. 【用法・用量】 ―― 焦らずじっくりが基本

トリンテリックスは、1日1回の服用で効果が持続するように設計されています。

 

飲み始めのスタンダード

通常、成人は1日10mg(1錠)からスタートします。

食事の影響をほとんど受けないため、朝食後でも夕食後でも、自分の生活リズムに合わせて飲みやすい時間帯に設定できるのが利点です。

 

用量の調整

患者さんの状態や症状の改善具合を見ながら、医師の判断で増減されます。

  • 最大用量: 1日20mgまで。
  • 増量のタイミング: お薬が体に馴染むまで時間がかかるため、増量する場合は最低でも1週間以上の間隔をあけるのがルールです。
  • このお薬は血中濃度が安定するまでに少し時間がかかりますが、その分、飲み忘れた際に急激に血中濃度が下がりにくいという「粘り強さ」も持っています。

 

3. 【副作用】 ―― 知っておきたい「吐き気」との付き合い方

どんなお薬にも副作用の可能性はありますが、トリンテリックスにおいて最も頻度が高く、かつ注意が必要なのが「吐き気(悪心)」です。

 

吐き気のピークは最初の1〜2週間

服用を開始した直後に吐き気を感じる方が比較的多いですが、

これはセロトニンが胃腸の受容体も刺激してしまうために起こります。

対策

多くの場合、1〜2週間ほど飲み続けることで体が慣れ、自然と治まっていきます。

どうしても辛い場合は、一時的に吐き気止めを併用したり、夕食後に服用したりすることで軽減できる場合があります。

 

その他の副作用

眠気・めまい

頻度はそれほど高くありませんが、運転などの危険な作業をする際は十分に注意が必要です。

下痢・便秘

消化器系の症状として現れることがあります。

嬉しい特徴

体重増加や性機能障害が少ない

従来の抗うつ薬で悩みの種になりやすかった「太りやすさ」や「性機能障害」といった副作用が、

トリンテリックスは比較的少ないというデータがあります。

これは長期的に服用を続ける上で、QOL(生活の質)を保ちやすい非常に重要なポイントです。

 

4. 安全に使い続けるための注意点

1. 自動車の運転について

お薬の特性上、眠気やめまいが起こる可能性があるため、服用中は自動車の運転や機械の操作には十分な注意が必要です。

特に飲み始めや増量時は、自分の体調の変化を慎重に見極めましょう。

 

2. 急にやめない(離脱症状への配慮)

トリンテリックスは半減期(成分が体から抜けるまでの時間)が長いため、

他のSSRIに比べると離脱症状(めまい、頭痛、イライラなど)は起きにくいとされています。

しかし、自己判断で急に服薬を中止すると体調を崩すリスクがあるため、必ず医師の指導のもとで徐々に減量していくことが不可欠です。

 

3. アルコールとの併用

お酒と一緒に飲むと、お薬の作用が強く出すぎたり、副作用が強く現れたりする恐れがあります。

治療期間中は、飲酒を控えるのが賢明です。

 

5. まとめ ―― 2026年の視点から

トリンテリックスは、ただ「気分を上げる」だけでなく、

「頭のモヤモヤ(認知機能)」をスッキリさせ、日常生活のパフォーマンスを取り戻す手助けをしてくれる

現代的なお薬です。

副作用の「吐き気」さえ初期にうまくコントロールできれば、

体重への影響も少なく、非常に使い勝手の良い選択肢となります。

もし今、うつ病による思考力の低下や、従来の薬での副作用に悩んでいるのであれば、

主治医とこのお薬の可能性について話し合ってみる価値は十分にあるでしょう。

以上、ご参考になれば幸いです。

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