ルーラン(一般名:ペロスピロン)は、日本で開発された「非定型抗精神病薬」の一つです。
統合失調症の治療において長年使われてきたお薬ですが、その独特なキャラクターから、現在でも現場で重宝されるシーンが多い薬剤です。
今回は、ルーラン錠の特徴や使い方、そして気になる副作用について、
2026年現在の最新の知見を交えながら、詳しく解説していきます。
日本生まれの「優しめ」な抗精神病薬、ルーランの真実
メンタルヘルスの分野で処方されるお薬には、海外生まれのものが多いのですが、
このルーランは日本で開発されたという出自を持っています。
そのため、日本人の体格や体質に合わせた使い方が研究されており、医師にとってもコントロールしやすいお薬の一つと言えます。
ルーランの最大の特徴:SDA(セロトニン・ドパミン遮断薬)
ルーランは、専門的にはSDA(セロトニン・ドパミン・アンタゴニスト)というグループに属します。
脳内の「ドパミン」が過剰になると幻覚や妄想(陽性症状)が出やすくなりますが、
ルーランはこれをブロックして落ち着かせます。
同時に
のが特徴です。
さらに、ルーランには他の薬にはないユニークな点があります。
この作用があるおかげで、抗精神病薬でありながら、
不安を和らげたり、気分を少し持ち上げたりする「抗うつ・抗不安作用」を併せ持っているのです。
具体的な「使い方」と「飲み方」のルール
ルーランを使う上で、絶対に知っておかなければならない「お作法」があります。それは、「1日3回、食後に飲む」ということです。
なぜ「食後」で「3回」なの?
最近の抗精神病薬は「1日1回でOK」というタイプが増えていますが、ルーランはあえての1日3回です。
食事の影響を強く受ける
空腹時に飲むと、成分が体に吸収されにくくなってしまいます。
しっかり効果を出すためには、食後の胃に食べ物がある状態で飲むのが鉄則です。
キレが良い(作用時間が短い)
ルーランは体から抜けるのが比較的早いため、1日1回だと効果が途切れてしまいます。
小まめに分けることで、血中の濃度を一定に保つのです。
用法の目安
- 開始用量:通常、1日12mg(4mgを1日3回)からスタートします。
- 維持量:症状を見ながら調整し、1日12mg〜48mgの範囲で継続します。
- 最大量:1日48mgまでと決められています。
「最近少し調子がいいからお昼分を抜いちゃおう」といった自己判断は、血中濃度の変動を招き、症状が不安定になる原因になります。
決められた回数を守ることが、回復への近道です。
知っておきたい副作用とその対策
どんなに良いお薬でも、副作用の可能性はゼロではありません。
ルーランは比較的「副作用がマイルド」と言われていますが、それでも注意すべきポイントがいくつかあります。
1. 体がそわそわする「アカシジア」
ルーランで最も注意したいのが、このアカシジア(静坐不能)です。
「じっとしていられない」「足がムズムズする」「歩き回りたくなる」といった感覚が出ることがあります。
これは性格の問題ではなく、お薬がドパミンに作用している証拠なのですが、不快感が強い場合はすぐに医師に相談してください。
お薬を減らしたり、副作用を抑える薬を併用したりすることで改善できます。
2. 眠気とふらつき
飲み始めや増量時に、眠気や立ちくらみ(起立性低血圧)を感じることがあります。
特に高齢者の方は転倒のリスクがあるため、ゆっくりと立ち上がるなどの注意が必要です。
また、車の運転や危険な作業は控えるよう定められています。
3. 体重の変化と血糖値
古いタイプの抗精神病薬に比べると、ルーランは「太りにくい」部類に入ります。
しかし、全く影響がないわけではありません。
食欲が増進したり、血糖値が上がったりすることが稀にあるため、定期的な血液検査が推奨されています。
「急に喉が渇くようになった」「トイレの回数が増えた」という変化があれば、血糖値の影響を疑う必要があります。
4. 生理不順や乳汁分泌(高プロラクチン血症)
女性の場合、ホルモンのバランスが変わることで生理が止まったり、授乳中でもないのに乳汁が出たりすることがあります。
これもドパミン遮断作用によるものですが、気になる場合は我慢せずに主治医に伝えてください。
2026年現在の視点:ルーランの「立ち位置」
現在、多くの新しい治療薬が登場していますが、
「重すぎない」お薬
強い鎮静作用(眠り込ませるような力)が少ないため、日中の活動を維持したい方に適しています。
「せん妄」への活用
最近では、高齢者の入院時などに起こる「せん妄(パニックや混乱状態)」に対しても、
その作用時間の短さを活かして使われるケースが増えています。
最後に:主治医とのコミュニケーションが大切
ルーランは、正しく使えば「穏やかな日常」を取り戻すための非常に心強いパートナーになります。
もし「薬を飲んでからなんとなく落ち着かない」「昼間の眠気が強すぎる」といった違和感があれば、それは薬が合っていないのではなく、
ルーランは1日3回という手間はかかりますが、その分、きめ細かな調整が効くお薬です。
自分の体調の変化をメモしておき、診察時に主治医へ伝えることで、より自分に合った治療プランを作っていくことができます。
お薬について不安なことや、もっと詳しく知りたい特定の症状などはありますか?
もしあれば、いつでも教えてくださいね。
以上、ご参考になれば幸いです。
