「病院薬剤師について思うこと」
私は薬科大学卒業後、一旦大学病院で研修を半年間経験し、その後約25年間比較的大きな病院で薬剤師をしていました。
昔は院内処方で、処方箋が外来・入院、内服・注射合わせて1日に1,000枚以上あり、調剤室はとにかくスピード重視でしたね。
ほぼ全て手書きのアナログ業務です。なんとか読める程度の字で、薬袋やラベルなどを書いてました。
若い頃は、上司から本当によく怒られて……。
大学病院では処方箋を読んで、処方解析をして、きっちり調剤をしていたので、
「民間病院は速さが求められるのか」と痛感しました。
20歳後半の頃から病棟思考が強く「病棟服薬指導がしたいです」と、まだ時期が早いのに上司に言ってました。
すると17時15分が勤務終了時刻、調剤室で16時30分まで仕事、その後病棟へ行ってきて下さいと。「えっ?」
その頃残業代は、つけない(サービス)のが当たり前でした。
年配の薬剤師は定時に帰ります。30才代くらいの伸び盛りの薬剤師は、勉強会へよく行ってました。
今みたいにPCや社員カードで管理されていません。
全てが勉強・経験と開き直って、毎日遅くまで多くの患者さんと接して、薬や入院中の出来事などじっくりお話ししました。
それから詰所に行き紙カルテに記入。点滴穿石の精神を忘れず‥。
点滴穿石とは小さな努力を続けた結果、大きな成果となることです。
看護師さんと色々相談していたので仲良かったですね。
「休憩室にお菓子があるから食べていって」と言われて「いいんですか」と言いながら、
看護師さんの休憩室にちょくちょくお邪魔していました。
夜は各階のナースステーションに入り浸っていました。時間が遅いほど、優しくしてくれます。
日中怖いと思っていた方が、とても親切だったりして。
若い医師は、当たり前のように遅くまで電子カルテに向かっています。
「帰ったら寝るだけですよ」「もう慣れました」
何気ない会話がしやすかったですね。
医局にもよく行き、若い先生との交流を深め、何回か一緒に論文発表をしました。
研修医から「今度土日の糖尿病学会行くよね」と言われ、
「もちろん」と返事して自費で参加したりすることが多かったですね。
医師の学会参加費は比較的高いことが難点です。
薬剤師の学会とは違い、症例報告の演題が多いなという印象をもちました。
アカデミックな講演会は、もうついて行けません。
外国人が演者で同時通訳がなく、質問も英語でするという状況で「これは場違いだなぁ」と感じました。
休日出勤しても、医局で作業をするため薬局には内緒です。今の時代では無理かもしれませんね。
病院薬剤師は、調剤薬局と違い色んな事ができます。
医師、看護師、検査技師などが常に側にいて相談ができる環境です。
患者さんを深くケアするチーム医療、連携プレーがしやすいです。
今回、入院して改めて感じたことがあります。
薬剤師の顔は、1週間に1回しか見なかったですね。他のコメディカルに比べて存在感が薄いです。
医師、看護師、栄養士、作業療法士は頻繁に来て、質問に答えてくれて感謝してます。
「入院患者さんは、薬の専門家である薬剤師をずっと待っている」この現状は、昔も今も変わってません。