▶実際60歳でいくら位貯金があれば、安心して老後を迎えられるの?

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実際60歳でいくら位貯金があれば、安心して老後を迎えられるの?

老後2000万円問題」が世間を騒がせてから数年が経ちました。

しかし、物価の上昇や社会保険料の負担増が続く今、その数字はもはや過去のものとなりつつあります。

実際のところ、還暦を迎える60歳の時点でいくら貯金があれば安心してこれからの人生を歩んでいけるのでしょうか。

結論からお伝えすると、

一般的な夫婦世帯で「2000万〜2500万円」、単身世帯で「1200万〜1500万円」が、現在の社会情勢を踏まえた一つのリアルな目安になります。

しかし、これはあくまで平均的な生活を基準とした最大公約数の数字にすぎません。

本当に大切なのは世間一般の平均値ではなく、自分のライフスタイルに合わせた「自分軸の必要額」を知ることです。

これから迎える長いセカンドライフを笑顔で過ごすために、最新のデータをもとに、老後のお金の本質を紐解いていきましょう。

 

なぜ「2000万円」では足りなくなっているのか

かつて国が試算した2000万円という数字は、当時の物価や高齢者世帯の平均的な家計収支(毎月約5万円の赤字)をベースに、老後30年間(95歳まで)生きるという前提で計算されたものでした。

しかし、現在の状況は大きく変わっています。

特に直近の数年で私たちが肌で感じているのが「インフレ(物価上昇)」の影響です。

食品や光熱費、日用品の値上がりが続く中、かつてと同じ生活費のままでは暮らせなくなっています。

もし今後も年2%程度の緩やかな物価上昇が続いたとすると、

今ある2000万円の価値は、30年後には実質的に1100万円程度まで目減りしてしまう計算になります。

現金だけをそのまま持っていても、買えるものが少なくなってしまうのです。

さらに、医療技術の進歩による「長寿化」も進んでいます。

人生100年時代と言われる今、仮に60歳から100歳までの40年間を生きるとすれば、それだけで必要な生活費の総量は膨らみます。

こうした「物価高」と「想定以上の長寿」という二つの波が押し寄せているからこそ、

2000万円という数字を鵜呑みにするのは危険だと言われているのです。

最新データから見る高齢者世帯のリアルな収支

最新の家計調査によると、65歳以上の無職世帯における毎月の平均的な収支には、明確な赤字傾向が見られます。

夫と妻の二人で暮らす高齢夫婦無職世帯の場合、年金などの実収入が毎月約25万4000円であるのに対し、

税金や社会保険料、そして日々の生活費を合わせた支出は約29万6000円。

毎月およそ4万2000円の不足が発生しています。

この毎月の不足分を年間ベースに直すと約50万円

仮に65歳から95歳までの30年間この生活を続けると、それだけで1500万円の貯金を取り崩すことになります。

一方、お一人で暮らす高齢単身無職世帯の場合はどうでしょうか。

実収入が毎月約13万1000円に対して、支出は約16万1000円となっており、毎月約3万円の不足です。

年間で約36万円、30年間で約1080万円の不足となります。

これだけを見ると、「じゃあ夫婦なら1500万円、単身なら1100万円あれば足りるのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、ここに「人生の不確定要素」という大きな落とし穴があります。

 

安心の土台を作る「特別費」の計算

日々の生活費の赤字を埋めるだけでは、「安心して老後を迎える」には不十分です。

なぜなら、年齢を重ねるごとに避けては通れない特別な出費が発生するからです。

安心の総額を底上げする主な要因は二つあります。

一つ目は「医療費と介護費」です。

元気に過ごしていても、体調の変化や介護の必要性は突然やってきます。

一般的に、介護にかかる一時的な初期費用や月々の施設利用料などを考慮すると、

介護期間の平均とされる約4年7ヶ月で、1人あたり約300万〜500万円の備えが必要と言われています。

夫婦二人であれば、これだけで最大1000万円ほどの予算を枠として確保しておかなければなりません。

二つ目は「住まいの維持費」です。

持ち家の場合、築年数が経てば外壁の塗装や屋根の修理、水回りのリフォームが必要になります。

さらに、将来的にバリアフリー化が必要になることも考えられます。

これらにかかる数百万円の費用は、毎月の生活費とは別建てで用意しておくべきものです。

一方で賃貸住まいの場合は、更新料や、生涯にわたって家賃を払い続けるための原資を上乗せしなければなりません。

これら「生活費の赤字補填」に「医療・介護・住まいの特別費」を足し合わせることで、

冒頭でお伝えした夫婦世帯で2000万〜2500万円、単身世帯で1200万〜1500万円というリアルな安心基準が見えてくるのです。

60代の貯金事情:平均値と中央値のギャップ

ここで、世間の一歩先を行く同世代がどれくらい貯金を持っているのかを覗いてみましょう。

最新の世論調査によると、60代の二人以上世帯における金融資産保有額の「平均値」は約2680万円となっています。

この数字だけを見ると、「みんなしっかり2000万円以上貯めているんだな」と感じるかもしれません。

しかし、ここで注目すべきは平均値ではなく「中央値」です。

中央値とは、貯蓄額が少ない順から多い順に並べたときに、ちょうど真ん中に位置する人の金額のことで、より庶民のリアルな感覚に近い数字になります。

この60代・二人以上世帯の「中央値」は、約1400万円です。

平均値の約2680万円とは大きな開きがあります。

これは、一部の非常に多く貯蓄を持っている人が平均値を大きく引き上げているためです。

ちなみに、単身世帯の場合だと平均値は約1360万円ですが、中央値は300万円前後まで下がります。

つまり、世間の半分以上の世帯は、理想とされる2000万円には届いていないのが現実なのです。

ですから、「周りと比べて貯金が少ない」と過度に焦る必要はありません。

大切なのは、自分のこれからの暮らしをどう組み立てるかです。

 

60歳からでも間に合う、安心を高める3つのアプローチ

もし今の貯蓄額が目安に届いていなくても、ガッカリする必要はまったくありません。

60歳というタイミングは、これからの働き方やお金の使い方を柔軟に再設計できる絶好のチャンスです。

安心を手に入れるためのアプローチは、主に3つあります。

まず最も効果的なのが「長く働くこと」です。

現役時代のようにバリバリ働く必要はありません。

例えば、夫婦で月に合計10万円、あるいは単身で5万円だけでも、パートや再雇用で収入を得ることができれば、

それだけで老後資金の取り崩し時期を劇的に遅らせることができます。

60歳から65歳までの5年間、生活費を稼ぐことができれば、本来その期間に使うはずだった数百万円の貯金をそのまま未来へ温存できます。

社会や人とのつながりを持ち続けることは、健康維持や生きがいにもつながる素晴らしい選択です。

次に「年金の受給時期を遅らせる(繰下げ受給)」という戦略です。

原則65歳からの年金受給を、1ヶ月遅らせるごとに受給額は0.7%ずつ増額されます。

もし70歳まで受給を我慢できれば、一生涯もらえる年金額が「42%」もアップします。

インフレに強い公的年金のベースを底上げすることは、どんな投資よりも確実で強力な老後対策になります。

そして最後が「資産の一部をインフレに強い形に変える」ことです。

貯金のすべてを銀行口座に眠らせておくのではなく、新NISAなどを活用して、

世界経済の成長や物価上昇に合わせて価値が目減りしにくい「資産運用」に少しずつ回していくことも大切です。

60歳からでも、投資の期間は20年、30年と長く取ることができます。

過度なリスクを避け、投資信託などを活用した手堅い運用を生活の一部に組み込むことで、お金の寿命を延ばすことができます。

 

自分に拍手を送り、前を向いて歩む

これまでの人生、仕事に励み、家族を支え、懸命に走り続けてこられたこと自体が、本当に素晴らしいことです。

還暦という節目を迎えた自分自身に、まずは心からの拍手を送ってあげてください。

老後資金の計算は、これからの人生をより豊かに、安心して楽しむための「地図づくり」のようなものです。

数字を見て不安になるためではなく、これからどんな風に暮らし、どんな風にお金と付き合っていくかを決めるための前向きなステップです。

必要以上に怯えることなく、ご自身のこれからの夢やライフスタイルに合わせた心地よい暮らしのバランスを、ぜひ見つけていってください。

これからのセカンドライフが、音楽や趣味、そして大切な人との温かい時間に満ちた、素晴らしいものになることを応援しております。

以上、ご参考になれば幸いです。

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