【心と体のケア】▶「心不全、日常生活で9つの注意点は?」

心不全
心不全、日常生活で9つの注意点は?
以下の文章は、日本循環器協会「心不全のいろは」の記事、急性·慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)などを参考にしています。

心不全は、心臓の働きが低下して血液を十分に送り出せない状態です。

心不全の悪化を防ぐためには、適切な治療に加えて、運動や食事など生活習慣の改善が重要です。

足のすねを指で10秒間押し、その部分がへこんでいるかどうかでむくみが確認できます。

靴下の跡が強く残る、靴がきつくなるのもむくみのサインです。

このようなむくみや、前かがみの姿勢になって30秒もしないうちに苦しくて体を起こしたくなるようなときも、悪化のサインの1つです。

 

心不全の方が、日常生活で注意するべき点は以下の通りです。

 ①塩分をとりすぎない。

塩分は1日6g未満を守りましょう。(急性・慢性心不全診療ガイドラインより)

塩分を多く摂ると、むくみや高血圧を引き起こし、心臓に負担をかけます。

 

②水分をとりすぎない。

水分は1日1.5L以下にすることを目標にしましょう。

水分を多く摂ると、体内の水分量が増えて心臓に負担をかけます。

 

③風邪をひかないように気をつける。

風邪などの感染症にかかると、心臓に負担がかかり、心不全を悪化させる原因になります。

手洗いやうがいを心がけ、いつもと体調が異なると感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

感染症を予防するために、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。

 

④内服薬をしっかり飲む。

心不全の治療薬は、心臓の働きを改善したり、症状を緩和したりする効果があります。

医師の指示に従い飲み忘れないようにし、もし飲み忘れが続くならば、医師や薬剤師に相談しましょう。

お薬を飲まないと、死亡や再入院のリスクが増えることは、明らかになっています。

薬局でお薬を服用時間ごとにまとめる1包化により、飲みやすくすることができます。

飲み忘れを防ぐには、ピルケース、お薬カレンダーやアラームなどの工夫をしましょう。

 

 

⑤禁煙・節酒する。

タバコに含まれるニコチンによって、血圧が上がったり、不整脈を引き起こすことがあります。

お酒を飲みすぎると、水分のバランスが崩れ、血圧も上がり、心臓に負担がかかります。

心不全を悪化させないためには、禁煙・節酒が必要です。

 

⑥ストレスを緩和する。

心不全は、病気そのものの心配のほか、生活の変化や金銭的な負担などによりストレスを抱えやすい病気です。

ストレスは血圧や心拍数を上げ、心臓に負担をかけます。

心配なことや気になることを一人で抱え込まずに、話しやすい人に相談しましょう。

また、規則正しい生活を心がけて、十分な睡眠や休息をとりましょう。

 

⑦適度な運動をする。

安定期であれば、室内を歩いたり軽くストレッチをしたりするなどの適度な運動をしましょう。

日常生活の中で症状を改善し、からだの機能を維持するために有効です。

過度な安静はかえって調子を悪くすることがわかっています。

ただし、心不全が急に悪化したときなど、病状によっては運動してはいけない場合があります。

布団の上げ下ろしなど、重たいものの運搬はできるだけ避けましょう。

運動する際には、苦痛にならない程度にしましょう。

 

⑧心臓に優しい入浴をする。

入浴時、湯船のお湯が熱すぎたり、深くつかりすぎたりすると心臓に負担がかかります。

ぬるめのお湯(40~41度)に鎖骨の下あたりまでつかり、10分以内にとどめましょう。

温かい部屋から急に冷えた浴室に入ると、血圧が急に上がるため危険です。

入浴前には、脱衣所や浴室等を温かくしてから入りましょう。

洗髪する時は、心臓を圧迫するような前かがみの姿勢ではなく、シャワーを使うようにしましょう。

 

⑨便秘の予防をする。

便秘による排便時のいきみは血圧を上げ、心臓に負担をかけてしまいます。

排便時にはゆっくり息を吐いて、呼吸が乱れないように気を付けましょう。

出にくい方は排便前にウォシュレットで肛門マッサージを行ってみてはいかがでしょうか。

他に、食物繊維の多い野菜をとるなどの工夫をしても改善しない場合は、医師に相談し、下剤を処方してもらいましょう。


日常生活の注意点をご紹介しました。

日本循環器学会日本心不全学会は心不全のことを

心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり生命を縮める病気」と定義しています。

心不全は悪化と回復を繰り返し、徐々に病状が進行する病気ですが、

適切な治療と生活習慣の改善によって、症状をコントロールし、生活の質を向上させることができます。

心不全の患者さんに対して心臓リハビリテーションが行われることが多いと思います。

どのくらい自分は運動して良いのかがわからない人は、

心臓リハビリテーションの際に身体を動かす強度を参考にすると良いですね。

心不全の悪化のサインには早めに気づき、医師に相談しましょう。

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