▶バレーボール男子は、今何故こんなに強いの?

趣味・魅力のコンテンツ
この記事は約6分で読めます。
バレーボール男子は、今何故こんなに強いの?

近年、テレビをつけても、SNSを開いても、日本の男子バレーボールの話題を見かけない日はありません。

かつては「日本代表は高さとパワーの海外勢に勝てない」「オリンピックの出場権争いで毎回苦戦している」と言われていた時代が嘘のようです。

世界選手権やネーションズリーグ(VNL)で世界の並み居る強豪国を圧倒し、表彰台に登る姿は、今や日本のファンにとって「当たり前」の光景になりつつあります。

なぜ、バレーボール男子日本代表は、これほどまでに強くなったのでしょうか?

そこには、偶然の奇跡などではなく、緻密に計算された「個のレベルアップ」と、日本独自の「組織戦術の完成」がありました。

現在の日本男子バレーが世界最高峰に君臨する理由を、いくつかの視点から具体的に解き明かしていきます。

 

理由その1:当たり前になった「世界基準」への挑戦と個の覚醒

日本男子バレーを語る上で、キャプテンの石川祐希選手をはじめとする中心選手たちが、若いうちから世界最高峰のプロリーグ(イタリアのセリエAなど)に身を置き、最前線で揉まれてきたことは外せません。

かつての日本代表は、国内のVリーグでプレーし、年に数回の国際大会のときだけ海外の「高さ」や「重いスパイク」を体感するというサイクルでした。

これでは、対戦するたびに相手の規格外のパワーとスピードに慣れるだけで大会が終わってしまいます。

しかし、現在の主力メンバーは日常的に世界屈指のプレイヤーたちと対峙しています。

イタリアや海外リーグでキャプテンやエースを任されるほどの経験を積んだ石川選手や、

若くしてセリエAでディフェンスと攻撃の核として評価を高めた髙橋藍選手、

海外のタフな環境で武者修行を重ねた宮浦健人選手など、彼らにとって「世界トップの高さとパワー」は、もはや驚くものではなく、日常の風景です。

日常的に世界基準のブロックや、時速120キロを超えるサーブに対峙しているからこそ、

国際試合でも焦らず、自分たちの力を100%発揮できるメンタルとフィジカルが養われました。

 

理由その2:ただ拾うだけではない「ディフェンスの組織化」と「2本目の質」

日本バレーの伝統的なお家芸といえば「粘り強いレシーブ」です。

しかし、今の日本代表の強さは、単に「相手の強打を泥臭く拾う」というレベルを遥かに超越しています。

現代の男子バレーでは、あらかじめアナリストやコーチ陣が相手のスパイクコースのデータを徹底的に分析し、

ブロッカーとレシーバーが連動する「トータルディフェンス」が完璧に構築されています。

相手アタッカーから見ると、日本の高いブロックによって打てるコースを限定され、

その限定されたわずかな隙間に、正確に日本のレシーバーが先回りして配置されているという、まるで「逃げ場のない罠」にかかっているような感覚に陥るのです。

さらに、世界を驚かせているのが「2本目のトスワークの質の高さ」です。

バレーボールでは、相手の強烈なサーブやスパイクをレシーブ(1本目)した際、必ずしもセッターがきれいにトスを上げられる位置にボールが返るとは限りません。

むしろ、コートの外に大きく弾かれることの方が多いのが現代の高速バレーです。

普通のチームであれば、乱れた1本目からは単調なオープン攻撃(高いだけのトス)しか打てず、相手の3枚ブロックに捕まってしまいます。

しかし、日本は違います。セッター以外の選手、特にリベロの山本智大選手や、アウトサイドヒッターの髙橋藍選手、石川選手らが、コートのどこからでも、まるですぐ隣でセットしたかのようなピンポイントの「バックトス」や「高速トス」を供給します。

この「2本目の質の高さ」があるからこそ、守備から即座に、相手ブロックが完成するよりも速い「超高速バックアタック」へと繋げることが可能になり、守備をそのまま強力な得点源へと変換できています。

 

理由その3:全員がスパイカー!相手を幻惑する「同時多発位置差攻撃(パイプ)」

一昔前のバレーボールは、レフトかライトのどちらかから高く上がったトスを打つ「個人の打ち合い」でした。

しかし、今の日本代表のオフェンスは、まるで統率されたオーケストラのようです。

その象徴が「スロット」と「テンポ」を極限まで突き詰めた「同時多発位置差攻撃」です。

セッターがボールに触れる瞬間、前衛の3人だけでなく、後衛の選手も含めた4人全員が同時に、異なる助走ラインから一斉にスパイクの踏み込みを行います。

相手のブロッカーからすれば、誰が打ってくるのか全く的を絞ることができません。

セッターの関田誠大選手らが絶妙なハンドリングで一瞬でも相手ブロックの目を欺けば、

スパイカーの前からは完全にブロックが消え去るか、せいぜい1枚しか残らない状態になります。

特に後衛中央から猛スピードで飛び込んでくる「パイプ(高速バックアタック)」は、日本の最大の武器です。

この戦術により、平均身長で大きく劣る日本が、世界一の高さを誇るヨーロッパのブロックを翻弄し、ノーマークでスパイクを叩き込むシーンが何度も生まれています。

 

理由その4:ベンチメンバーも含めた「誰が出ても勝てる選手層の厚さ」

以前の日本代表は、エースが一人でも不調だったりケガで離脱したりすると、一気にチーム力が低下してしまう弱点がありました。

しかし、現在の代表チームは「誰がコートに立っても世界トップレベルのバレーができる」という驚異的な選手層の厚さを誇っています。

オポジット(攻撃専門のポジション)の西田有志選手がベンチに下がっても、

サウスポーから放たれる強烈なスパイクとブロック力を誇る宮浦健人選手が控えており、むしろ宮浦選手がコートに入ったことで試合の流れがガラリと変わることも珍しくありません。

また、甲斐優斗選手をはじめとする若手や新鋭の選手たちも、国内の「SVリーグ」(日本の新プロリーグ)の活性化や国際大会での経験を通じて急成長を遂げており、ベテランや主力メンバーにいつでも取って代わる実力を備えています。

長丁場となる国際大会において、この「選手層の厚さ」は最大の武器です。

主力を休ませながら戦い抜くことができるため、大会終盤の勝負どころでも日本代表はエネルギー切れを起こさず、常にインテンシティ(プレー強度)の高いバレーを維持し続けることができます。

 

これからの男子バレー:黄金期はまだ始まったばかり

徹底的なデータ分析に基づいた組織ディフェンス、コート上の全員がシンクロして動き出す高速立体コンビネーション、そして海外の荒波に揉まれて圧倒的な個の強さを手に入れた選手たち。

現在の男子バレー日本代表の強さは、何か一つの必殺技によるものではなく、これらすべての要素が歯車のように完璧に噛み合った結果です。

そして何より素晴らしいのは、今の日本代表が「勝つこと」を当然の目標とし、さらに「観客を魅了する面白いバレーボールを届ける」という高いプライドを持って戦っている点です。

世界中のバレー関係者が「今の日本のスタイルこそが、現代バレーの究極の完成形だ」と称賛を惜しみません。

LA28オリンピックの出場枠をかけた戦いや、新しく生まれ変わった国内リーグでの切磋琢磨を経て、日本の男子バレーはさらにその強さに磨きをかけていくでしょう。

彼らがコートで見せてくれる次の「驚き」を楽しみに、これからも全力で日本代表を応援していきましょう!

以上、ご参考になれば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました